セクハラとの闘い方が難しいのは、加害者が人事上の権限を持っている場合が多く、セクハラを社内相談窓口に訴えても、救済されないだけでなく、「仕事外し」等様々な報復を受けることから闘いにくいのである。
しかし使用者は労働契約上職場環境配慮義務(労働契約法)を負っているし、雇用機会均等法11条1項は
「事業主は、職場において行われる性的言動に対するその雇用する労働者の対応により当該労働者がその労働条件につき不利益を受け、又は当該性的な言動により当該労働者の就業環境が害されることのないよう、当該労働者からの相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備その他の雇用管理上必要な措置を講じなければならない」
と定めています。これを使用者の措置義務といいます。
つまりセクハラを相談窓口に相談すると事業主は職場環境配慮義務と措置義務を果たさねばなりません。しかし実際には事業主がセクハラを隠ぺいし、逆に被害女性労働者を排除する傾向が多く、この条項はほとんど死文化しているのが現状です。
本来はセクハラが訴えられると、事業主は調査し事実であれば、加害者に謝罪させ、加害者を配置転換するなどの措置を取る義務が事業主にはあります。(措置義務)しかし実際には加害者がセクハラを否定すると、大概は事業主がセクハラはなかったことにします。録音があろうが写真があろうが事業主は厄介ごとは隠ぺいするのが普通です。
ですからセクハラを訴えた方が報復を受け、職場から排除されるのが普通なのが日本の現状です。よほど証拠をそろえないとセクハラは闘えないのが実際です。新世紀ユニオンの経験では、会長に職場で2回抱きしめられ、胸などを触られた事案で労働審判を闘い、解決金120万円で和解したことがあります。
また非正規の女性が人事部長に歓迎会だと呼び出され、性的暴行を受けた事案では簡易裁判所の調停で420万円で和解したことがあります。
これらは加害者がセクハラの事実を認めたので解決できました。しかし加害者も事業主もが事実を否定した場合、解決は大変困難が伴います。
つまりセクハラは証拠が決定的なのです。この場合の闘い方は相手の体質を見ながら創意工夫が要ります。これについては悪用される恐れがあるので具体的には書きません。ユニオンの指導に従ってください。
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