理研が300名の雇止めを行おうとしたり、大学で大量の雇止めが公表されるなど、企業や大学・研究機関等の非正規雇用の雇止めが激増しています。これは2012年に雇止め法理が制定(労働契約法19条)され、今年が10年目の節目(5年ルールの2回目)に当たります。
期間契約の「5年を超えるルール」で本人から申し入れがあった場合、期限の定めのない雇用にしなければならないため、それを回避するため雇い主が、雇止めに走っているのです。
期限の定めのない雇用を増やすための法律(労働契約法18条の無期転換申込み権)が、逆に雇止めを増やしているのですから無期転換申込み権は形がい化しているという事です。
雇止めされた人が、雇用を守るためには以下の雇止めの法律的枠組みを理解しておかねばなりません。
(1)無期転換申込権
①期間契約が5年を超える人は、期間満了後「契約更新の申込み」「締結の申込み」をすれば、雇い主は期限の定めのない雇用にしなければなりません。<無期転換申込権(労働契約法18条1項)>この場合の「契約更新の申込み」は、雇止めへの不満・反対、異議申し立て、不満の表明でもよいとされています。
(2)労働契約法19条の雇止め法理の要件は以下のとおりです。
①過去に反復して更新されたことがある有期労働契約で、その雇止めが無期労働者を解雇することと社会通念上同視できると認められるもの
(期間の定めがある労働契約がある場合でも、業務内容や更新手続きの状況などから、期限の定めのない雇用と同じ労働内容であることなど、期間の定めのない契約と同様の状況になっているものについては解雇権濫用法理が適用される場合がある。)
②労働者において有期労働契約の期間満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められるもの
(例・面接時に長く働いてください、などの発言がなされていた場合など、最初の有期労働契約の締結時から雇止めされた有期労働契約の満了時までの間におけるあらゆる契約更新への期待を抱かせる事情が総合的に勘案されます。)
③使用者が当該申し込みを拒絶することが客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないとき
(例・退職強要の画策が継続して行われ、その延長としての違法な排除目的としての雇止めである場合などの雇止めは人事権の濫用となる。)
④契約期間満了後、契約更新がないまま労働関係が継続した場合は民法629条の規定により黙示の更新により期間の定めのない契約となる場合があります。
以上の法的枠組みから、具体的事案を点検し、戦略・戦術を決めるようにしてください。
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