国民経済が健全な成長路線に復帰するためには、持続的な賃上げが必要であり、需要の拡大が不可欠なのである。日本経済が30年間停滞を続けているのは強欲の資本主義の政策の結果であり、経済成長を持続させるだけの適度の分配率がなく、したがって設備投資が促されなかったからである。
労働者の賃金は、別の側面から見ると個人消費であり、需要のことである。需要が持続的に拡大しない社会では設備投資は促されず、したがって賃上げが行われない社会では経済は成長しないのである。内需が拡大し、経済成長する社会は、国際競争力も高まるのである。
日本で賃上げが行われなくなったのは、労組を家畜化し、闘うユニオンを権力的につぶしてきたからである。労組の弱体化がもたらしたものは、大企業の不正の数々であり、ブラック企業化であり、野蛮な搾取であり、労働の奴隷化であり、不安定雇用であった。
労働組合の健全な活動がなければ、企業の腐敗を正せず、賃金は持続的に上がらず、したがって国民経済の成長は維持できないことを知るべきである。
安上がりな外国人労働力を利用する技能実習生制度は、借金でしばりつけ、暴力的に外国人を働かせる制度であり、まさに現代の奴隷労働である。テレビニュースで暴力を振るわれるベトナム人労働者の姿を見て、「日本の恥だ」と叫んだ人が多くいた。
労働の奴隷化で超過利潤を獲得する路線は経済学的に完全な誤りであり、日本経済を衰退へと導くものであることを指摘しなければならない。
日本経済が長期の停滞にあることは、経営者とその政治的代理人が、労働者の賃上げを憎み、労組を敵視し、結果日本経済の生産性を上げることができなくなった結果である。
さらに経営者の主要な関心が残業代の不払い、長時間労働というブラック企業化を促したことで、本来の資本主義の成長路線を捨て去り、設備投資による生産性の向上による相対的剰余価値の獲得を忘れ去った結果なのである。
資本主義の経済成長には、労働組合の合法的な運動による継続的賃上げが不可欠だという事すら、理解できない人たちが一国の経済政策を動かしているのであるから、長期デフレの「日本病」は当然と言えば当然の結果なのである。
労組の家畜化とユニオンつぶしをやめなければ日本経済の再生はあり得ないであろう。
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