最近は入社にあたり秘密保持義務に署名捺印させられている関係で、ユニオンに加入しても就業規則を見せない方がいます。
つまり労働者に秘密保持義務が生ずるのは、会社の顧客情報や技術情報などに限られます。それを知らないために情報面での奴隷状態となっている労働者が少なくありません。
自分の雇用を守ったり、労働条件を守るためのユニオンへの必要な情報開示は秘密保持義務違反には当たりません。
例えば会社の違法行為、役員の違法行為は内部告発しても「公益通報者保護法」によって保護されます。また会社の秘密保持義務にあたる情報でも弁護士に話しても秘密保持義務違反には問われません。
重要なのは秘密の範囲を知っておくことです。顧客情報や技術情報などその情報が企業外に漏れることで企業の正当な利益が損なわれる場合は、保持されるべき秘密に該当します。
また個人情報保護法で保護されるべき個人情報も労働者も保護義務を負います。顧客などの個人情報は第3者に漏らさないようにしてください。
労働者の秘密保持義務は、労働契約上の信義則、あるいは誠実義務に基づくものであるので、退職後はこの義務は継続されません。ただし退職後も秘密保持義務を課すには契約上の根拠がなければなりません。
個別の契約や就業規則で退職後の秘密保持義務を具体的に定めていても、それが労働者の職業選択の自由や営業の自由を制限することになるので、秘密の性質や価値、労働者の地位に照らし、合理的範囲に限られなければならなりません。
つまり契約で退職後の同じ職種での労働を禁止するのは違法なのです。また労働契約終了後は秘密保持義務を負うこともない、という学説もある。(ただしその反対の学説もある。)つまり平社員の場合は、退職後は秘密保持義務はないというのが一般的なのである。
ただし営業マンの場合、不正競争防止法で営業秘密を保護する規定が設けられているので注意が必要です。不正競争防止法は「営業秘密」を秘密とされている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないものをいう、と定義されています。
つまり、この場合保護されるべき情報は(1)秘密管理性(2)有用性(3)非公知性の3要件を満たす情報に限定しています。以上参考にしてください。
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