問 私は以前懲戒解雇されたことがあります。その時の解雇理由に予備的に普通解雇を並列的に書いてありました。その時は懲戒解雇と普通解雇では闘っても負けると思い、泣き寝入りしたことがあります。
素人は懲戒解雇の有効要件が分からないこと、懲戒解雇と普通解雇の関係が分からず、どう解釈したらよいかわかりませんでした。懲戒解雇でもあり、普通解雇でもあるという事はあり得るのでしょうか?
答 解雇には懲戒解雇と普通解雇があります。普通解雇は民法627条1項に基づく労働契約の解約の申し入れです。したがって解約を拒否すれば合意解約は成立しません。
普通解雇である場合は、「客観的に合理的理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効」となります。(労働契約法第16条)
懲戒解雇は企業秩序違反に対する懲戒権の行使です。この懲戒解雇の要件は以下のとおりです。
(1)就業規則に懲戒の根拠となる具体的定めがあるか
(2)懲戒事由に該当する具体的事実があるか
(3)使用者が懲戒解雇時に処分の理由を認識していたか
(4)懲戒の理由が相当性があり濫用でないこと
(5)懲戒処分の手続きが適正で、弁明の機会が与えられていること
以上の懲戒の要件が有効であることが重要です。会社側が懲戒解雇の有効要件が十分証明できない時、予備的に普通解雇の意思表示をする事例が増えています。
地裁で労働者側が懲戒解雇事案で勝訴し、高裁で会社側が予備的に普通解雇の意思表示をして逆転敗訴した事例もあります。
したがって会社側が予備的に普通解雇の意思表示をしている場合、判決まで行かずに金銭解決したほうがいい場合が多いことを認識しておいた方がいいと思います。
以上参考にしてください。
スポンサーサイト