問 私は今会社から退職勧奨を受けています。しかも私の所属する部門は「閉鎖だ」という事で仕事も取り上げられています。部門閉鎖と言いながら私の仕事の求人は出しています。営業職に配置転換だ、という事で、研修を受けさせるといいながら「あなたのする仕事はない」と言われています。また営業の仕事をさせずに、高額の営業ノルマを押し付けてきています。私には退職勧奨と退職強要の違いが分かりません。私の場合はパワハラの仕事の取り上げにあたるのでしょうか?
答
会社が労働者に対して、労働契約の合意解約を申し込んだり、申し込みの誘引をしたりするのを退職勧奨と言います。しかしひどい嫌がらせなど、人事権を使って退職に追い込む社会通念上の限度を超えた嫌がらせを退職強要と言います。
会社が配置転換を通告してきた時は、配置転換を拒否する言動をしてはいけません。配置転換拒否は懲戒解雇できるからです。しかし部門閉鎖が本当なのか? 退職に追い込む方便ではないのか? 疑う必要はあります。
したがってこのような場合は営業への配置転換であれば、経験がないので研修を求めたり、営業職に慣れるまでの教育を求めたり、要求を提出する必要はあります。
気をつけねばならないのは「部門閉鎖」の場合一時的な仕事の取り上げはやむを得ない、とする裁判所の判断があるので、会社が「部門閉鎖」を理由にしている相談者の場合は、すぐさま「パワハラだ」とは言わない方がいいです。
営業に配置転換と言いながら仕事を取り上げ、ノルマだけ押し付けるという不当なやり方の証拠を確保することが重要です。
配置転換は会社が人事権の行使として決めてきたものであり、人事権行使は裁判所は一定の裁量を認めます。ですので人事権の濫用の具体的な証拠を集めることが重要になるのです。
つまり労働者を自己退職に追い込むことを狙いにしている攻撃の具体的証拠を固める必要があり、会社が部門閉鎖を理由にしている時は慎重な対応が必要になるのです。会社が業務命令として上司を通じて命令してくることは逆らわないで実践する。そして違法な目的のための人事権の行使であることの証拠を集めることが重要です。
相談者の場合、営業ノルマを押し付けながら、営業の研修も仕事もさせず、仕事を取り上げているのは、「仕事の取り上げはパワハラだ」と抗議させて、人事権に逆らったと処分を考えていると見ていいのです。人事権濫用の証拠が雇用を守る決め手になるでしょう。
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