問 私は以前より、社長から「能力がない」と、ハラスメントを受け退職を迫られていましたが、この度、私だけ説明もなく一方的に3万円減給されました。
この減給は合法なのでしょうか?会社に説明を求めても、「能力がない」と言うのが分かっているので、どのように対応してよいのかわかりません、教えてください。
答 賃下げには、懲戒処分としての賃下げもあれば、降格を口実に行う賃下げもあります。したがって有印の書面で賃下げの理由について、社長に書面での説明を求めるべきです。賃下げの理由によって対応が変わるから、まず理由を書面で聞いてください。
原則として使用者が一方的に労働条件を変更することはできません。服務規律違反の懲戒処分による賃金減額の場合は、懲戒の一方法として就業規則にその定めが明記されていなければなりません。
相談者だけ賃下げが行われたのであるなら、就業規則の変更による賃下げではありません。不適格性を口実にした役職や職位の降格による賃下げも、一方的にできるものではありません。
降格の理由がある場合は裁判所は人事権として、降格を認める場合があります。しかし、降格の理由がない場合は人事権の濫用となります。相談者の場合、退職強要のための違法な一方的賃下げと判断するほかありませんが、この点は会社に書面で確認しなければなりません。。
従って対応策としては、社長に面談を求め、「以前から退職強要のパワハラを色々受けてきたが、今回の3万円の一方的賃下げも私に辞めろという事ですか?」と質問し、録音を取る必要があります。
この時に、以前の暴言も具体的に発言を指摘し、違法な賃下げはやめてほしい。取り消してください、と求めることが必要です。面と向かって言いにくいときは書面(コピーを取っておく)でも構いません。
最近多いのは、会社側が「辞めたくないなら賃下げを受け入れろ」と解雇をほのめかしながら賃下げを迫ることです。この場合必ず2回3回と賃下げが繰り返される傾向があります。
労働者の自由な意思によらない賃下げの強要は違法です。必ず「賃下げは認めません」と拒否してください。労働契約の締結・改訂は使用者と労働者の自由な意思による合意によらねばなりません。(労働契約法の「合意の原則」)
賃下げについては抗議もせず、放置すると認めたことになるので認めないことを表明して証拠を残しておけば、未払い賃金の時効は3年なので、一定の時期に未払い賃金を取り戻すことができます。
いずれにせよ、退職強要の標的になっているのなら、相談者はユニオンに加入して、雇用を守る方策をきちんと持って対応した方がいいです。
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