最近解雇が急増していますので、解雇された場合の労働者側の、訴訟における賃金請求の根拠について書きます。
解雇された労働者が賃金請求を行うには、以下の5点が必要です。
(1)労働契約書の存在
(2)労働契約書に賃金の締切り日及び支払い日が定められていること
(3)請求している賃金額が労働契約書締結日の賃金と違う場合、請求している賃金額を証明する書面あること
(4)賃金請求する期間、労務の提供が会社側の責任で不可能となったこと
(5)その労務提供の不能が会社側の責めに帰すべき理由を示す証拠があること
この5点があれば、解雇の違法が証明できれば未払い賃金を請求できます。地位確認の裁判の勝訴判決までに、2年間かかれば2年分の未払い賃金が支払われます。
解雇理由が普通解雇であれ懲戒解雇であれ、解雇されても、それを認めないのであれば、出社し、会社側が就労を拒否した証拠(=録音)を取る必要があります。解雇されたから出社せず、しかも「もうこの会社では働かない」と失業保険の手続きをした場合、解雇追認とみなされ、違法解雇であっても未払い賃金を請求できません。
実際にある宗教団体の信者の人がユニオンの指導に従わず、出社せず、失業保険の手続きをしたため、結果労働審判でわずかな解決金しか取れなかった事例があります。
また、うつ病で休職していた人が、就労可能の診断書が出たので、復帰して、パワハラの証拠を取るように指導したのに、従わず「パワハラ上司がいるので出たくない」と就労を拒否したため、会社に解雇され、未払い賃金請求権を認められず敗訴した例もあります。
つまり、会社が解雇の意思表示をして、労務の受領拒絶の意思を明確にした場合には、労働者がその後の労務の提供を行うまでもなく、労働義務の履行はつぎつぎ不能になっていくのです。
民法536条2項の「債権者の帰責性」とは、債権者(会社)の故意、又は過失で労働者の労務遂行が不可能であったことを証明することが重要です。わかりやすく言うと、労働者は解雇されても就労の意思があることを行動で示すことが重要なのです。
ゆえに新世紀ユニオンの規約には、組合員が指導部の指導に従うことを定めています。これは指導に従わず解雇事案で敗訴する例が少なくないから定めているのです。
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