ロシアよりの政権を、極右のクーデターで覆し、ウクライナ極右政権にNATO加盟を表明させて、ロシア政府を挑発し、侵攻に追い込み、戦争で経済的にロシアを疲弊させて、プーチン政権を打倒するというアメリカの戦略は失敗した。
ロシア軍のウクライナ侵攻から1年がたち、ウクライナ戦争が欧米対中ロの覇権争いの代理戦争の様相をますます強めてきた。問題はアメリカが仕掛けたこの戦争が、戦略的にはアメリカの失敗に終わる可能性が強くなっていることだ。
中ロの側に中東産油国が付いたことで、ロシアは経済制裁を迂回貿易で克服し、むしろ制裁で欧州の経済的打撃が大きく、長期戦はエネルギーを握る方が優位に立つことが明確になってきた。
ロシア経済は経済制裁の打撃を、中国やインドとの貿易さらには中東諸国の迂回貿易で経済危機を克服した。当初アメリカの傭兵部隊の携帯ミサイル・シャベリンの攻撃で、大打撃を受けたロシア軍は、東部戦線で体制を立て直した。
ウクライナ戦争の長期化は、アメリカの覇権維持にマイナスで、中国だけが戦略的利益を享受することになった。欧州はエネルギー価格の高騰で経済危機を深め、日本は3正面に敵を持つ、安全保障上の危機を迎えることになった。
ウクライナ戦争でアメリカは穀物の高騰、エネルギーの欧州への売却、武器の売却でぼろ儲けしている。しかし戦略的に中東産油国が、ロシア・中国陣営の側につき、世界の分割が鮮明になり始めた。
これは覇権を維持するアメリカ側の戦略的失敗であり、欧州や日本が経済的に疲弊しないうちに、停戦しないと中国側だけが戦略的優位を手に入れる事態となっている。
欧米は、ウクライナに戦車を支援して、ロシアも勝てず、ウクライナも勝てない状況にして、早めに停戦しようとしている。これに反発したのがウクライナのジェレンスキーで、彼は「クリミア半島を奪回するまで闘う」ことを表明した。これは欧米の停戦圧力を拒否したということである。
戦争が長引けば、中国は台湾進攻がたやすくなる。今のアメリカは2つの大きな戦争を戦う力はないのである。ウクライナ戦争は後ろに立つアメリカ・欧州とロシアのどちらが経済的に疲弊するかの、我慢比べとなってきた。中国政府の和平案提案は、欧米の意向を受けたもので、中国しか調停に立つ国がないのである。
バイデンは大統領選前に、ウクライナ戦争を終わらせないと再選はおぼつかなくなる。そのためには中国が兵器をロシアに売らないこと、和平調停で中国が協力することが必要となっている。
中国側もゼロコロナの失敗で経済不況なので、世界の分割は経済的に好ましくない。米中が戦争停戦で協力する可能性が出てきたが成功するかは分からない。
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