冷戦終了後の先進国首脳会議での「平和の配当」の追求が、強欲の資本主義がもたらした金融資本の富の巨大な蓄積と、資本主義の不均等発展の法則が、アメリカの一極支配を突き崩し、世界は多極化が進み始めた。
とりわけロシアと中国と中東を中心とする「独裁連合」ともいうべき「上海協力機構」と欧米(NATO)の確執は、かつての進んだ資本主義国であった「連合国」と遅れて発展した資本主義国「3国同盟」との矛盾とよく似た対立関係が生れつつある。
アメリカがウクライナにおけるクーデターで作り挙げた極右政権が、ウクライナのNATO加盟によるロシアへの挑発が引き起こしたウクライナ戦争、並びに対ロシア経済制裁は、世界経済を危機に陥れている。
原油・エネルギー・各種資源と、食糧などの高騰が、その対策としての金利引き上げで、欧米に金融危機を発現させ、そのためにアメリカとスイスの銀行で預金の引き出しが続いており、銀行の倒産も起きて、現在も金融危機が進行している。
世界経済の危機は、「上海協力機構」とNATOの両陣営の経済危機を深刻化させているが、この二つの陣営の矛盾は資源産出国側と、資源消費国側の矛盾であり、経済危機の深刻さは価格高騰の被害を受けるNATO側の方が危機はより深刻である。
アメリカは、この危機を戦争で決着をつけようと、ウクライナへの巨額の軍事支援を行っている。しかしそのことが世界市場の分割と対立を拡大し、経済のブロック化が進行している。
とりわけコロナ禍での先進各国のインフレ政策が物価の高騰に拍車をかけている中で、原油の取引を自国の通貨で行う流れができつつあることは、将来ドルの暴落を招き、アメリカのドル支配が崩壊する可能性もある。
世界的な不況下での物価の高騰は世界各国の政情不安を高め、内戦や地域戦争が激発し、世界情勢は戦後最大の流動化が起きている。ウクライナ戦争は両陣営の覇権を掛けた代理戦争化しており、すぐには決着がつきそうもない。
深刻なことは、世界経済がますます危機を深めていることである。NATO側は金融的には巨大であるが、上海協力機構側は資源を握っている点で優位にあり、このままウクライナ戦争が続けば、欧米の金融危機が爆発する可能性が高まるであろう。
一般的に世界経済のブロック化が進めば、世界貿易が縮小し、世界大恐慌に発展する可能性があり、事態は戦後最大の経済危機と世界戦争の危険性を著しく高めているといえる。
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