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就業規則は労働契約の内容となるのか?

 常時10人以上の労働者を雇用する使用者には就業規則の作成が義務付けられています。(労働基準法89条)就業規則には、賃金の決定・計算の方法、賃金の締め切り及び支払い時期、解雇の事由を含む退職に関する事項などが必要記載事項とされています。(労基法89条1号から3号)

 就業規則に合理的な労働条件が定められていて、労働者に周知されている場合には、就業規則が労働契約の内容となります(労働契約法第7条)。このような就業規則の効力を、契約規律効ないし補充効と言います。

 就業規則が労働契約の内容の契約規律効が生じる要件として、就業規則が事業場の規則として、実質的に周知されていることが必要です。労基法89条に定める労働基準監督署長への届け出や、同法90条に定める労働組合又は過半数代表者の意見聴取は、要件ではないとされていますので注意してください。

 労働契約の内容の契約規律効が生じる要件としての周知の方法は、労働契約法が制定されたので、書面でなくともパソコン内で事業場の労働者が実質的に見える状態であれば足りるとされています。

 つまりそのような方法がとられていれば、当該労働者が実際に就業規則の内容を知っていたかどうかは関係なく、当該労働者に就業規則の規約規律効が及ぶとされています。

 就業規則で定める基準に達しない労働条件を当事者間で合意した場合には、その合意は無効となるという効力があります。(労働契約法12条)たとえだ就業規則で手当の支給が定められている場合、当事者間の契約で手当を支給しない、と決めても、使用者は就業規則で定められた手当を支払う義務があるのです。

 このような就業規則の効力を、就業規則の最低基準効と呼んでいます。

 つまり、使用者が労働者との間で賃金額の5万円切り下げの変更で個別的に合意しても、就業規則に定める内容に達しない部分について、労働契約法12条に照らして無効となります。この点は賃下げを強行された時に重要な点ですので、労働者は覚えておいてください。

 使用者及び労働者は、合意により労働契約を変更することができ、したがって就業規則も使用者及び労働者の合意により変更することができます。(労働契約法8条、9条)

 就業規則は、原則として、労働者と使用者との合意無くして、労働者に不利益な変更はできない。

 例外として労働契約法10条に定める要件を満たせば、労働者の個別的同意を得ることなく、労働者に不利益な変更をすることができます。ただしこの場合判例では、高度の必要性に基づいた合理性が必要とされています。

 これを争う場合、労働者は、賃金減額の不利益不利益変更が、不利益の程度において、不当であることの証拠を必要とします。
(なお労働協約との関連については複雑なので説明を省いています)
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