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新世紀ユニオン発行のニュース

労働者との賃下げの場合の争点

 労働者への賃金減額の方法は様々な方法があります。それは以下の方法です。

(1)就業規則の賃金査定による減額
(2)就業規則の変更による賃金減額
(3)労働協約改定による賃金減額
(4)業務命令の等級変更による減額
(5)懲戒処分としての賃金減額
(6)労働者との合意による賃金減額

 今回はこの(6)労働者との合意による賃金減額の争いで何が争点=問題となるかを書きます。

 使用者が労働者の合意を得て、賃金を減額することは労働契約法8条で認められています。そこで問題となるのは労働者の賃金減額の承認(=同意)が自由な意思に基づくものか?それとも強要されたものか?が争点になります。

 使用者側が賃下げの同意を求める際、「受け入れないと解雇する」旨脅かして受け入れを迫る場合が多いのです。この点について判例は、すでに発生している労働契約上の賃金債権を放棄する旨の意思表示が、労働者の自由な意思に基づいてされたものであるかが、重要な点となります。(最二小判昭和48.1.19シンガー.ソーイング.メシ―ンカンパニー事件)つまり労働契約書は使用者も守らねばなりません。ですから現状の労働契約で定められた賃金債権の放棄が労働者の自由な意思で行われたかが重要となるのです。

 他の多くの判例からも、労働者との合意による賃金減額の承認(=同意)が自由な意思に基づいてされたものであるかが、重要となります。つまりこの賃金減額が経営上の、どのような理由で行うかの説明がなされたか?賃金減額が一人だけなのか?それとも全従業員に及ぶのか?などの説明の内容も重要です。

 さらに詳しく説明すると、賃金減額の労働契約書に署名さえさせれば、賃金減額の承認(=同意)が得られたのではなく、労働者の受ける不利益の内容・程度、労働者により当該変更が行われるに至った経緯、及びその態様、当該行為に先立つ労働者への情報提供・説明が行われたか、そのうえで労働者の自由な意思に基づいて賃金減額の承認(=同意)が行われたと認めるにたる合理的な理由が客観的に存在するか、という観点から判断されるべきでなのです。

 賃金を減額した労働契約書に署名すれば賃金減額の承認(=同意)が得られたというものではないことを押さえておかねばなりません。(判例日新製鋼事件)

 まとめると、すでに発生している賃金債権の放棄と将来の賃金減額の双方について、労働者の自由な意思においてされたことの合理的な、客観的な理由が必要なのです。

 労働者の賃金減額の承認(=同意)が詐欺・脅迫(民96条)によるものである場合は、この意思表示を取り消すことができます。また錯誤によるものである場合は無効を主張できます。以上参考にしてください。
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