新世紀ユニオンの過去の事案で、組合員がユニオンの指導に従わず、結果未払い賃金請求が認められなかった例がいくつかあります。
<事例1>違法解雇されたので、労働審判の申請書提出まで雇用保険の仮受給の手続きを控えるよう指導したのに、「自分はもうこの会社で働く意思がない」と失業保険の受給手続きをしたため、解決金がわずかな金額になった事案。
<事例2>パワハラでうつ病を発症した事案で、ユニオンが一度原職に復帰して録音をするように言ったのにその指導に従わず、原職復帰を拒んだため、労働者の側が労務を行うことを拒絶したとみなされることとなって解雇され、未払い賃金の請求権が裁判で認められなかった事案。
などがあります。
<解雇後の賃金請求原因は次のとおりです>
(1) 労働契約締結の事実があること
(2) 就業規則で賃金の締め切り日、支払い日のさだめがあること
(3) 就業規則で賃金額の根拠規定があること
(4) 賃金請求期間の労務提供が不可能になったこと
(5) 労務提供の履行が使用者の責めに帰すべき理由があること
(6) 請求している金額で労使の合意が成立している場合(労働契約時の金額と相違する場合)
解雇事案においてこの中で重要なのは(5)の使用者(会社)が解雇の意志を表明し、労務の受領拒絶の意志を明確にしていることです。
先に示した<事例1>は失業給付の手続きが、使用者の解雇を追認し、働く意思がないことであり、そのために未払い賃金の請求権が認められなくなった事例です。
<事例2>は業務の履行不能が使用者側には無く、労働者側にあるので未払い賃金が認められませんでした。つまり就労の意志、就労の能力を失っているときは使用者に帰責性がないと判断されます。
つまり、労働者は会社から解雇された場合でもこれを認めず出社し、会社側が労務の受領を拒絶する事実を録音しておくことが必要なのです。
要するに労働者側は働こうとしたが、会社側が労務の受領を拒絶したことが重要な事なのです。労働者の就労の履行不能の理由が会社側にあることが、未払い賃金請求権の行使では重要なのです。
解雇事案では解雇の無効が証明されなければなりません。解雇権濫用の評価事実、もしくは労基法違反の解雇の強硬法規に違反しているなどを主張しなければなりません。
以上のことから、解雇事案ではユニオン指導部の指導を事案当事者の組合員が守るかどうかが決定的なのです。
指導に従えば解決金500万円が、指導を拒絶したために解決金ゼロと言うのが事実あるのです。
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