会社が一方的に賃下げを行う例があいかわらず多いので、その対応をあらかじめ知っておくことが重要です。
始めにはっきりさせておくべき事は、労働条件は労働者と会社との合意に基づき決定されるのが原則であり(労働契約法第3条1項、同8条)会社が一方的に労働条件を切り下げることは出来ません。したがって会社から賃下げに同意するよう迫られたら、すぐに答えず「重要な問題なので持ち帰って考えますので1週間ぐらい時間を下さい」と答え、時間を稼いでその間にユニオンと相談するようにして下さい。
また賃金など労働条件の変更は、その内容が合理的であることが必要です。また労働条件の変更の話し合いは労使対等な立場でなされなければなりません(労働契約法1条、3条1項)
労働契約法4条1項は「使用者は、労働者に提示する労働条件及び労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにするものとする」と定めています。したがって一方的に賃下げされたらこの規定を示して会社に説明を求めること(その内容を録音する)また賃下げは拒否できますが、拒否したらどうなるのかも聞くこと。
賃下げを同意するよう会社が強く迫る場合、その迫り方が脅迫に当たる場合は、記録(録音)が証拠になります。
賃下げを拒否すると会社が整理解雇する場合もあります。また「賃下げを受け入れるか退職を選ぶか決めろ」と二者択一を迫る場合もあります。しかしこのような場合でもその選択に応じる義務はありません。したがって会社には賃下げの必要性と退職の場合の条件(割増し退職金など)を説明するよう求めて下さい。
賃下げも、退職も拒否すると整理解雇してくる可能性もあります。この場合は整理解雇の4要件に従って解雇権濫用になるかを検討しなければなりません(整理解雇の4要件については当ユニオンのリストラ対処法を参考にして下さい)
個別的な同意がなくても賃下げが合法的となる場合があります。それは就業規則の変更や組合との労働協約の締結による場合です。
賃下げの口実として以下の種類があります。
1) 処分にともなう降格による賃下げ
2) 人事異動や役職変更による賃下げ
3) 能力を口実にした等級の引き下げ
4) 配転に伴う賃下げ
5) 賃金形態変更による賃下げ
6) 交通費や手当を削減する。
などがあります。それぞれに対応策が違いますので組合員は当ユニオンの指導を受けて下さい。
重要なのは賃下げの狙いが人件費の削減だけでなく「退職に追い込む」狙いがあることです。したがって賃下げであっても解雇につながる可能性があるので、証拠を残すとともにユニオンに加入してから指導を受けつつ対応することが重要です。
会社と敵対的関係になることを恐れて、賃下げに何もしないでいると、1カ月2カ月と時間が経過し既成事実だけが残り、事実上賃下げを容認したことになりかねません。賃下げを納得していない事を内容証明郵便で表明して証拠を残すようにして下さい。
賃下げを拒否したら解雇されたという例が多いのでユニオンに加入して、戦略・戦術を決めてから対応することをお勧めします。。
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