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新世紀ユニオン発行のニュース

◆職場におけるパワーハラスメントについて

 退職強要の手段として近年いじめで「自己退職」に追い込む手法が広くおこなわれています。(新世紀ユニオンのリストラ対処法を参照)いじめの内、上司が人事権を有する職務上の地位を利用して、部下を不必要に叱責したり、精神的苦痛を与えたり、人格権を侵害することを「パワーハラスメント」(以下パワハラ)と言います。

 職場における上司の人事権は部下にとって絶対的な権力です。それは仕事上の指示だけでなく、評価に基づく賃金査定、あるいは昇進・降格・配転などを命令する権限(パワー)を意味しています。

 このパワーが本来職務上の関係にすぎない上司と部下の関係を、全人格面での上下関係と錯覚させ、あたかも封建的身分制度のごとく絶対的支配者と見なす傾向が、日本の企業社会には存在しているのです。どのような権力も、時に人を過信させ、狂わせる時があります。

 したがってこのような企業においては、上司が部下に対し、人間として接するのではなく、あたかも奴隷、あるいは召使いのごとく接することが当然視され、したがって部下に対する注意や叱責が、耳元で怒鳴ったり、暴言を加えたり、暴力をともなったり、精神的いたぶりを加えるようになり、その結果部下がうつ病になったり精神的苦痛を被る例も少なくありません。

 企業によっては4~5人に1人のうつ病の社員がいる例もあります。つまり部下の犯したミスの程度にもよるが、上司の叱責の度合いが社会通念に照らして許容されないものである場合違法となります。

 最近では上司のパワハラによるうつ病を原因とする自殺が労災認定された例もあり、パワハラへの社会的関心が高まってきています。

 部下に精神的苦痛を与える上司の行為は「部下を指導すること」とは決して言えず、したがって大勢でつるしあげたり、暴行を加えたり、しつように怒鳴ったり、ののしったりするような社会常識から逸脱した行為は違法と判断できます。

 職場におけるこうした人格権の侵害は、業務命令で仕事を取りあげたり、草むしりを懲罰的にやらせたり、社長や重役の命令で職場の同僚を動員して行われる場合があります。これらは企業としての使用者意志に基づくものであり、命じた者は不法行為責任(民法709条)と使用者責任(民法715条)を負うことになります。

 同僚によるいじめが、使用者が行わせているとは証明できない場合でも、企業には安全配慮義務や労働環境配慮義務があり、使用者がこの義務を怠っている場合は債務不履行責任を問うことができます。

 パワハラは仕事上のミスや少ない成果を口実にやられることが多いため、違法と思われる行為に対しても被害者が泣き寝入りする例が多いのです。

 パワハラが違法かどうかのポイントは業務改善を目的としているか、それとも業務とは無関係な目的に基づいているかであり、具体的には使用者意思に基づく人格権侵害は、出向拒否等の制裁や退職強要や、組合活動家潰し等の目的を持って行われるのが特徴です。

 重要なことは上司と部下の関係は職務の円滑な遂行を計るためのものであり、あくまでも職務上の関係に過ぎないのであって、身分制度のような絶対的、全人格的支配と被支配の関係ではないということです。職場における民主主義的な生き生きとした社風が、社員の創意工夫を生み業績を上げる力となるのであって、上司の違法なパワハラが企業業績を上げるという考えは錯覚です。

 職場における違法な人格権侵害に泣き寝入りしないで、新世紀ユニオンに加入して闘うことを呼びかけたいと思います。
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