昨年の世相を表す漢字に「偽」という字が選ばれた。食品偽装で多くの有名企業が賞味期限を偽って倒産に直面することになった。
生命保険38社の保険金不払いの問題では、保険会社自身の調査で01~05年の5年間に件数で約131万件、不払い額が約964億円に達した。
生命保険に対する人々の不信は拡大し、国内最大の日本生命は新契約高が前年度比49.5%減となり、顧客離れが深刻となっている。
人が人をだませば詐欺罪だが不思議なことに保険会社の経営者が詐欺罪に問われたという話は聞いたことがない!? 目先の金儲けのためなら何をしてもいい、と考える“偽りの経営者”が増えているのは、規制緩和・自由化・民営化の影響なのかもしれない。
残業代を払わない会社も増えている。労働力商品の代金を支払わなくても罪に問われないのだから“やり得”である。
まるで法律を守らないのが昨今の経営者の特徴であるかのようだ。しかもリストラのように、これまで永年会社の為に働いてきた労働者の首を切って、それで株価を上げる経営者が「よい経営者」であるかのような社会の風潮がある。こうして違法解雇が蔓延することになる。
企業の“コンプライアンス経営”が叫ばれるのは、こうした“偽りの経営”の結果である。“商売”というものは信用が第一であるのに、それが今や“偽り” が利益の源泉のように考える風潮が生まれている。
目先の利益を追い求めた結果、モラルが崩壊しているのである。人をだますのが金儲けの秘訣なら、詐欺師が一番優秀な経営者ということになる。
選挙の時は、「最後の1人まで年金を支給します」と公約しておいて「そんな公約したかな~」「説明した人(安倍)の責任でもある」と公約違反を公然と偽る首相もいる。5千万件の年金記録が“宙に浮いた”のは国家詐欺である。
国家も首相も大会社も信用喪失の時代なのである。こんな“偽りの時代”をどう生きればよいのか? 公約を守らない党には投票しない! 偽装の会社の商品は買わない! ウソをつく人間は信用しない! これが“偽りの時代”を生きる私達庶民のささやかな抵抗なのである。
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