「ユニオンは駆け込み寺である」という概念が最近広まっているということですが、「駆け込み寺」をアピールしているのはマスコミだけではなく、一部の組合も堂々とホームページなどで主張しています。
全国紙に勤める友人によれば、組合活動に深い関心がある若手記者は今や皆無に近く、組合の主張を鵜呑みにして書いているのではないかとのことでした。
もっとも、最近この新聞社の記事で名前が明示される労働団体は連合ばかり(全労連系はほとんど紹介されません)という偏向ぶりで、ユニオンの扱いに関しても社の方針があるのかもしれません。
ユニオンを「一発リストラ対策屋」扱いし、自分の問題が解決するとすぐ脱退する組合員が多いのは、多くの個人加盟組合に共通です。
学習コーナーでは労働組合の発展を阻止する人々が原因と述べられていますが、職場環境や労働者自身の意識もここ数年大きく変わりました。成果主義の導入や多様な雇用形態が入り交じる環境が当たり前になる一方、「労働者の団結」という意識は希薄になりつつあります。
個人的には労働問題に対して長期的な学習が必要だと痛切に感じるのですが、年々厳しくなる経済状況において、目の前の生活を優先せざるを得ない人もいると思います。
現在、労働問題の主流は集団的労使関係から個人的労使紛争に移行しています。経営側が30年にわたって労働者を分断するよう画策してきた影響で、労組の組織率は低下し、労働者は孤立を強いられることとなりました。
加えて、労働者は自ら持つ権利を学ぶ機会がなく、ホワイトカラー・イグゼンプションも7割の労働者が存在すら知りません。しかし、経営側の豊富な資金力や組織力の前に1人で対峙することが困難であることはあまりに明白です。
組合員の相次ぐ脱退に関し、組合が憤る気持ちも分かるのですが、啓蒙活動の巧みさは経営側が一枚上手です。労働者の権利を放棄し、「勝ち組」「負け組」という言葉に踊らされる労働者に対し、組合側も自らの価値をわかりやすく伝える必要があると感じます。組合も柔軟な対応が求められると思いました。
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