新世紀ユニオン発行のニュース

◆偽装請負・偽装「契約社員」の見分け方

 構造改革によるグローバル化は、必然的に日本企業を世界的な競争に巻き込んだ。日本企業は当初は工場(生産拠点)の東南アジアや中国への移転を進めたが、ハイテク分野においては品質の劣化と技術の流出を避けるため生産の国内回帰を進めた。そこで出てきたのがアウトソーシング(外部委託)と「労働力の流動化」による安価な労働力の調達であった。

 以前にも日本企業には臨時工や嘱託という雇用形態が存在した。

 しかし近年の労働法制の「規制緩和」政策で派遣が合法化され、請負や出向が増加し、労働者自身が派遣なのか請負なのか、契約社員なのかわからない例が増えている。いずれにせよ企業は、こうした非正規雇用(不安定雇用)を拡大することで高い収益力を実現してきた。この10年間で企業の損益分岐点は80%台から70%台へと低下し、高収益体質に転換したのである。

 正社員の半分以下の賃金で一時金もなし、社会保険もなしで、しかもいつでも首を切れる。という極めつけの使い勝手のよい雇用形態が広がることになった。

 最初は専門職だけだった派遣だが、2004年3月から製造業にも派遣が合法となり、ますます派遣労働者が急増することになった。しかし派遣を受け入れるメーカーの悩みは、派遣期間が1年を超えると正社員にしなければならず、正社員化を回避するには、仕事に熟練している派遣労働者を入れ替えなければならないことであった。

 生産を外部業者に委託する「請負」の欠点は、メーカーが労働者を直接指揮命令できないことである。ゆえに高い品質を保障するためにはメーカーから正社員を請負会社に出向させ、脱法的に指揮命令する手法が拡大したのである。

 こうしてキャノン、ニコン、松下、光洋シーリングテクノ、トヨタ車体精工、自動車部品工業(いすず系)、コマツゼノアなどの超一流企業が違法な「偽装請負」をおこない労働局の指導を受けることになった。

 このほか「契約社員」というので契約書を見ると“個人請負”だったという例も増えている。

 派遣先会社が派遣労働者をさらに別の会社に派遣したり、社員を子会社へ出向させておいて、さらにグループ企業へ「派遣」させる例があるが、これらは違法な二重派遣(1年以下の懲役又は100万円以下の罰金)である。この場合は在籍会社への復帰を求めること。

 請負会社に社員を大量に出向させていた松下には大阪労働局が助言して偽装回避の脱法行為をおこなっていたことが報じられている。(朝日新聞) 偽装請負が問題になったキャノン会長で日本経団連会長の御手洗富士夫は「請負法制は無理がありすぎる」「これをぜひもう一度見直してほしい」と法令違反をさも“法律が悪い”とばかりの発言をしている。

 日本経団連はこれまで既成事実を作った上で、自分達の都合のいい労働法制の規制緩和を進めてきた。今問題になっている「派遣」と「請負」の“いいとこ取り”の偽装請負も次の法律「改正」の既成事実作りと彼らは考えているのである。企業にとっての偽装請負の利点は以下のとおりである。

1、 安い賃金で、いつでもクビを切れる
2、 労災の安全責任をあいまいにできる
3、 労働時間規制をまぬがれ長時間働かせられる
4、 社会保険料負担を回避できる
5、 1年以上働かせても正社員にしなくてもよい
6、 消費税負担が軽減される

(まとめ)

 偽装請負とは派遣なのに請負の形でメーカー(派遣先)の指揮・命令のもとで働くこと、つまり実態は派遣であるのに、メーカーの社員を請負会社に出向させて脱法的に請負を偽装して、結果的に1年以上働かせても正社員にしない手法のことである。つまり「請負」であってもメーカーの指揮・命令で事実上働いていれば、それは“派遣”であり、したがって1年以上働いていれば正社員として雇用することをメーカーに求めることができる。

 契約書に「雇用契約書」となっていても、賃金形態が全額出来高賃金となっている場合は個人請負であり、契約社員ではない。この場合「解雇」されても労働者ではないので解雇予告手当を受け取ることはできない。本当の契約社員の場合は基本賃金が保障されているのでわかる。契約書に「請負会社の社員」として契約がなされていても、実態は派遣である場合がある。契約書にだまされないようにしなければならない。

 政府のいう「規制緩和」とは、労働者が派遣なのか請負なのか契約社員なのか、個人請負なのか出向なのか、分からないようにして、劣悪な労働条件で搾取する“野蛮な資本主義”へと導くことなのである。このことを彼らは「労働力の流動化」と言っているのである。
スポンサーサイト
!!ここに掲載の広告は 当ユニオンとは一切関係ありません!!
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
 ブックマークこのエントリをはてなブックマークに登録 このエントリを del.icio.us に登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 この記事をPOOKMARKに登録する このエントリをSaafブックマークへ追加 newsing it!

プロフィール

ユニオンニュース

Author:ユニオンニュース



一人でも入れる労働組合「新世紀ユニオン」が発行するニュースのサイトです。

新世紀ユニオンの組合費、拠出金等に関する高等裁判所の判決文を掲載しました。 拠出金高裁判決

検索フォーム
アーカイブ

カテゴリ

最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
  1. 無料アクセス解析