仕事でミスをしたり、会社に損失を出したりすると、労働者はどうしても自己嫌悪に陥り、後悔します。このような時に「本当なら懲戒解雇だが温情で自己退職にしてやる」などと言われて退職届にサインし押印する人が少なくありません。就業規則を調べると別に懲戒解雇にふさわしいことではないことが後でわかり、だまされたことに気付く人が多いのです。
会社が仕事上のミスを口実に始末書や念書に署名・捺印を迫って来た時は「少し考えさせてくれ」と、その用紙や案文を持ち帰り、友人や家族、ユニオンに相談し、内容を深く吟味しなければなりません。会社側が用意した始末書や念書の案文には「再び同様の失敗をした時は解雇されても仕方ありません」などと言った文言が記入されている場合が少なくありませんし「売却代金が回収できない場合は私が弁償します」などという文言が書かれている場合は、絶対に署名・捺印してはいけません。
本来始末書の案文は労働者が自分で考えて書くべきであり、会社が用意した案文でなければならないというものではありません。
ある労働者は、職場の仕事が自分に合わないので上司に他の職場への異動希望を出したところ、社長から退職勧奨を受け「仕事の能力がない」「席を立つのが多い」などと何回も面談で退職を迫られることになりました。
配転希望は、経済情勢や経営状態を考えて提出すべきで、会社がリストラを狙っている時に「異動(配転)希望」を出すのは“飛んで火に入る夏の虫”となります。
配転希望を出すときはユニオンの指導を受けるようにしてください。
何年も前からうつ病が悪化し長期にわたり 残業をやらされた結果なので経営者から慰謝料を取りたいと相談に来た人がありました。よく聞くと、その人は経営者に労災申請をしていないのです。
物事には段階性があります。ルールに基づいて診断書を添付し、(労基署へ)労災申請をし、却下されたら不服申し立て(異議申し立てでなくて審査請求+再審査請求、審査請求前置主義)をし、その上で内容証明で証拠を残し、団体交渉、それでだめなら裁判となります。
手続きを一切取らずに裁判はできないのです。したがって就業規則や労災の手続きについて担当者から説明してもらい、必要な添付書類についても確認すべきです。
うつ病で2ヶ月休んだ人が会社に復職させてほしいと申し入れたが復職させてくれない、という相談がありました。よく聞くと医師の就業可能の診断書を添付して復職願い(署名・捺印)の書面を提出していません。きちんと手続きをしなければ会社は復職させないようにしてきます。
つまり労働者は法律や手続きを知らないため要求すべきこと、手続きがされていない例が多いのです。社長に勧められるまま署名・捺印して、後でとんでもないことになるという例が多いのです。自分が営業で売却した代金が回収できず、念書に署名・捺印したばかりに巨額の賠償金を請求されることが実際にあるのです。何事も調査し、相談し、本当に自分の責任なのか?よく調べてから対応を決めなければなりません。
きちんとした手続き、法律的対応を身につけること、内容をよく吟味して署名・捺印するようにしなければなりません。
ユニオンに加入して、必要なときに相談ができるようにしておくことが必要な時代なのです。
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