問 4ヶ月ほど働いた会社が倒産し、私は2ヶ月分の給料が未払いになっています。労基署で立替払制度の手続きを取りましたが、会社側が「倒産していない」と書類を出さず労基署は「給料がわからない」と言って2ヶ月たっても手続きが出来ません。立替払いを受けるにはどうしたらいいですか? なお、私の給料明細は無くしてしまいました。
答 企業が倒産して未払い賃金が生じた時に「賃金の支払いの確保等に関する法律」に基づき、国(労働者健康福祉機構)が事業主に代わって立替払いをする制度があります。
この制度を受ける場合、労基署で倒産認定などの手続きをとることになります。また立替払いの額を決めるのは「確定申請書」を提出します。確認通知書が送られてきたら、これを添付して労働者健康福祉機構に請求し、同機構が未払い賃金の総額の8割を立替払いすることになります。
あなたの場合、社長が「倒産ではない」と言っているので「事実上の倒産」の場合に当り、この場合は労基署長宛に事実上倒産の「認定申請書」を提出します。しかし、給料明細やタイムカード等がなく、会社側が未払い賃金額を算定する書類を出さないため 労基署は立替払いの額を決定する確認通知書が出せなくなっているようです。
あなたは、働いた4ヶ月分の内2ヶ月分は給料を受け取っているわけですから、その分の給料明細を探して労基署に提示して下さい。給料明細は労働者がその会社で働いていた証拠ですから、絶対に紛失しないようにしてください。
なお、他に就労実態を示す物(タイムカード・作業記録等)も労基署に提出してください。労基署はこれを受けて調査をおこないます。会社側が未払い賃金額の提示をせず労基署に協力しないのは愚劣で卑怯というべきです。国の未払い賃金立替払制度で払われる金額は、未払い賃金(退職日の6ヶ月前の日から立替払請求の日の前日までの間に支払い期限が到来している月給・週給・日給)と「退職手当」の総額の8割です。賞与(ボーナス)や解雇予告手当ては対象となりませんので気をつけてください。
この場合の支払額には年齢による上限額が決まっていますので労基署で聞いて下さい。相談者の場合は、2ヶ月分なので上限には達しないでしょう。なお、立替払いを請求できる時期は、破産決定の日、又は倒産認定の日の翌日から起算して2年以内に限られます。
労働無料相談を受けていて感じるのは、未払い賃金の相談が意外に多いことです。残業代の未払い、さらには退職時の賃金未払い、そして倒産時の賃金未払い等のケースがあります。これらは経営者のモラルが低下している反映かも知れません。経営者は、「弱い立場にある労働者が泣き寝入りしてくれば儲けもの」と考えているのです。
倒産の場合は、予告手当も出ないのですから立替払い受給の手続きぐらいは経営者として協力する義務があります。労働者は給料の遅配があり、倒産の可能性がある場合は、未払い賃金額を算定する証拠(タイムカードのコピー・作業記録・入退社時間のメモ等)を残すようにすべきです。
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