アメリカのブッシュ大統領は、かつて「拉致はテロである」と語りました。北朝鮮の核の脅威を最も受ける国は日本です。ところがアメリカは日本を「蚊帳の外」において、一方的に北朝鮮のテロ国家指定を解除しました。北朝鮮が未申告核施設の検証を拒んでいるのに、アメリカが一方的に譲歩したのです。
ブッシュ政権は政権末期になって「朝鮮戦争の終止符に筋道をつけた」という成果を演出しようとして、日本の国民を無視する身勝手外交をしています。
アメリカは、在日米軍を日本の軍事的脅威を抑える“ビンのふた”と位置付けており、日本を自立させないためには北朝鮮の核保有を利用して、在日米軍の駐留継続を狙ってきたのです。
かつて日本政府がミサイル防衛の導入をアメリカに要求された時、北朝鮮は日本上空を通過するテポドンミサイルを発射し、またアメリカが在日米軍の再編費用3兆円の負担を日本に要求してきた時も、北朝鮮はミサイル7発を発射しました。アメリカと北朝鮮は結託して、日本を自立させないようにしているのです。そのために北朝鮮に古い核施設を解体させて“見返り援助”を与え金正日政権を延命させているのです。
アメリカは、イスラエルの脅威となるイランの核開発には反対しているのに、インドや北朝鮮の核開発は事実上容認しています。北朝鮮のテロ国家指定解除を発表した時、ブッシュは「拉致を忘れない」と言いました。これほど気休めの言葉はありません。制裁を解除して拉致関係を解決できなくして“忘れない”とは日本の国民をバカにしています。
アメリカは、ソ連崩壊後金融自由化を各国に要求し、全世界の遊休貨幣を集めて投資ファンドを組み、サブプライム債券を組み合わせた“詐欺的金融商品”を全世界に売りさばいてボロもうけし、結果信用バブルを招き、今や米金融資本の信用不安は極限にまで深まり、銀行間取引の機能停止によって世界は大恐慌に突入しつつあります。
アメリカ政府が来月ニューヨークで拡大G7首脳会議を計画しているのは、多額の外貨(ドル)を保有している日本や中国から支援を引き出す狙いからであり、自国の金融危機のリスク負担を他国に押し付ける第2の“プラザ合意”を狙っていることは明らかです。
アメリカが自国の利益からグローバリズム(新自由主義)を押し付け、自由化・規制緩和・民営化の政策で、欲望の資本主義を“自由放任”にした結果、信用バブルを引き起こしたのであり、その処理はアメリカ自身が負うべきであり、他国にリスク負担を求めるのは筋が通らないのです。
日本はアメリカの湾岸戦争で1兆2000億円も負担させられ、米軍再編で3兆円も負担を迫られ、役に立たないミサイル防衛に今後何兆円も負担させられることになります。また「貢献」の名で戦争にも駆り出されることになり、まったくアメリカは身勝手で信用できません。
アメリカの次期政権(オバマ政権)は金融危機の処理に手一杯になります。日本はアメリカの金融危機と政権交代に伴う政治空白を、対米自立の好機としなければなりません。
いつまでも従属国のままでは、アメリカに「貢献」の名で国家予算を奪い取られることが続くのです。
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