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新世紀ユニオン発行のニュース

4月からスタートする労働審判制度について

 今年4月から労働審判制度がスタートします。この制度は2つの点で画期的な制度と言われています。その1つは裁判官(労働審判官)と労使の団体から推薦された素人の労働審判員(全国で労働・経営の各500名)の3名で審判を下すことです。その2つは3回の期日で結論(調停もしくは審判の言渡し)を出す点です。

 この労働審判制度の特徴は、下された審判に対し当事者のうちの一方が2週間以内に異議の申立てをすると、審判はその効力を失い(同条3項)、申立ての時に遡って係属する地方裁判所に訴えの提起があったものとみなされることです(法22条1項)。この場合の訴訟費用は、審判申立ての時の手数料の金額を差引いた残額だけ訴訟提起の手数料として納めることになります。

 労働裁判の典型的な活用としては、解雇、賃金、退職金の未払い、労働条件の不利益変更、配転、出向、懲戒、降格などが該当すると見られています。

 この労働審判制度の欠陥は、第一に労働裁判官となる元労働幹部が元々経営者の手先で労働者の裏切り者が多いこと、第二に当事者が下された審判に異議の申立てをすると効力を失うことと、つまり裁判の前に経営側が労働者側の手の内(証拠)を知ることが、この制度によって可能になること、第三に裁判官と経営者及び労働審判官がぐるになって労働者を金銭解決による和解へと丸め込む場となる可能性が強いことです。

 つまり、実際の審判制度の運用がどう行われるかによって、労働者を救済するものとなるか、それとも経営者に都合のよい制度になるかが決まるということです。最悪労働者が裁判に訴える前に新たな障害を作ったことになる可能性すらあります。

 この労働審判制度は、本人だけで申立てすることができるが、裁判所は全て弁護士がついてほしいと希望していますから、労働者側の費用負担が増える可能性が強いのです(大阪労働者弁護団によれば「審判制度と裁判の双方の着手金については、弁護士によって対応が違うので弁護士と事前によく話し合ってほしい」と言っています)。

 労働審判法4条の但書は、「弁護士でない者を代理人とすることを許可することができる」としていますが当分の間、労働組合の執行委員や労働相談担当者等の代理人を許可する意向はないと言われています。

 労働審判制度の今一つの側面は、企業の労務担当者と労働組合幹部の天下り先を作ることであり、家畜化した労組の幹部が経営者の立場から労働者を丸め込む役割をはたすことです。

 日本の労働組合法は、日本軍国主義の復活を抑制するために、GHQによって民主的にその枠組みがつくられています。それは具体的には労組への不当労働行為を禁止し、労使の力関係(ストライキ権の行使)で紛争を解決する民主的仕組みになっているのです。

 これに対抗するために日本の経営者は、労組幹部を買収し、飼い慣らして、労使協調路線に取り込んで、労働組合を労働者支配の道具としてきました。その結果闘う個人加入労組が全国で成長しはじめたため、労働者大衆をユニオンに頼らないでも解決できる制度として労働審判制度が創られたわけです。

 つまり闘うユニオンの発展を阻止する“裏の狙い”のために労働審判制度が創られた以上、その制度の運用がどう行われるかが大変重要となります。運用が公平でないなら労働者は審判に異議の申立てをして裁判で決着をつける決意をしておくべきです。

 また経営者側が異議の申立てをする可能性も強いですから、労働者は審判の場に全ての証拠を出さないようにすることも必要なことです。

 必要なことは、労働組合の専従に労働審判での代理人の資格を与えることです。そうでないなら労働者の弁護士費用は一層重くなり、お金がない場合は本人申立てとなり法律に詳しくない労働者が不利になる可能性もあります。

 全国の労組活動家が、審判制度の実際の運用に鋭い監視の目を光らせなければ、この制度は有効な制度とはならないでしょう。
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