会社が退職強要の手段としているため、最近出勤停止処分になる労働者が増えています。
法律は使用者(会社)が企業秩序維持のためにおこなう懲戒権を認めており、その懲戒事由及び懲戒の種類・内容はあらかじめ就業規則に定めて、周知されていることが必要とされています。
法律上は対等の立場で結ばれた雇用契約であるのに会社の方にだけ懲戒権を認めているのは本来筋が通らないのです。
会社の懲戒権とは資本主義制度の下で経済的地位の相違がもたらした権力であり、賃金奴隷制度の本質が現れたものです。
<出勤停止処分が有効となるための5つの原則>
1.処分が就業規則に定められ、それが労働者に知らされていること
2.処分規定の内容が合理的であること
3.処分事由が事実であり、処分規定に該当すること
4.適正な手続きを踏まえた処分であること、本人に弁明の機会が与えられていること
5.処分が相当であり(相当性の原則)、平等に取り扱われていること(平等取り扱いの原則)
一般的に自宅待機と出勤停止とは明確に区別されており、企業の都合による自宅待機には最低60%の賃金を支払う義務があり、懲戒処分としての出勤停止処分は賃金支払い免除となります。
就業規則には普通出勤停止の上限の日数(7日~10日)が明記されています。これは会社の就業拒否によって、労働者の収入を一時的に断つという経済的制裁を含んでいます。
労働基準監督書によれば出勤停止処分は長期にわたってはならず、その長さは「公序良俗の見地」から制限(労働基準局長の通達)があり、不当に長期にわたる出勤停止は許されないものとなっています。
就業規則に出勤停止処分の日数の上限が定められていれば、それを超える処分は違法となります。
つまり、就業規則とは労働者も会社も守る義務があるのです。
また同じ理由で最初は降格減給処分をおこない、さらに出勤停止にするのは二重処分として違法です。
また「当分の間」などと期限の定めのない出勤停止処分は違法で、それは事実上の解雇と同じと解釈できます。
労働基準監督署によれば、出勤停止は賃金が支払われないとはいえ労働基準法91条の減給制裁には当たらないと解されています。
出勤停止といっても現実に外出を禁止する法的効果を有するものではありません。
また出勤停止を命ぜられていても組合活動のために会社構内に立ち入ったとしても出勤停止命令に違反したことにはなりません。
また処分決定の日から遡って処分することも違法です。
会社が出勤停止処分の合理的かつ正当な理由がないので、賃金を支払いながら出勤停止処分にする例もあります。これは職場から特定の労働者を排除する狙いを持つものですが、この場合もそのような出勤停止処分が就業規則に明記されているか、かつ周知されているかが重要になります(罪刑法定主義類似の原則)。
以上ここに記した、出勤停止処分が有効となる5つの原則を1つでも欠ければ違法処分と見てよいといえますので、出勤停止処分にされた労働者はあきらめずに、新世紀ユニオンに相談してください。
尚、相談にあたっては就業規則を持参して下さい。
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