4月25日(月)に兵庫県尼崎市のJR福知山線で宝塚発同志社前行き快速電車(JR西日本)がカーブの手前で制限速度を超えて進入し、脱線・横転しました。乗客と運転士で100名以上の方が亡くなりました。
実のところ、その約1ヶ月前に高知県の宿毛駅で特急「南風」(土佐くろしお鉄道・JR四国)が終点駅で止まらずに衝突事故を起こしています。運転士1名死亡。どちらもATS(列車自動停止装置)がきちんと働いていれば事故を起こさずに止まっています。要するにこの種類の事故がこの2ヶ月間に2度も起こっています。
確かに、運転士個人のミスはあったかもしれません。それをカバーするのがATSやATC(自動列車制御装置:新幹線など)です。しかし、運転士に限らず企業として労働者個人のミスを絶対に許さない体質が問題だと思います。快速の運転士は、事故を起こす以前に所定の停止位置を超えてしまうオーバーランを起こしています。オーバーランしたら程度によってはバックするため、電車に遅れが生じます。JRでは1秒の遅れも許されないがために、その運転士は遅れを取り戻すために制限速度を超えるスピードを出していたと言われています。ここまで厳しいのであればATO(自動列車運転装置:ニュートラムやポートライナーなど)による無人運転しかないでしょう。
しかし、人員削減に用いるのはごめんです。前方の安全確認のために運転士が必要です。最悪踏切での立ち往生やホームからの転落の場合に急ブレーキをかけるのが、運転士です。また、電車の運転で一番難しいのがブレーキです。そのために、「先を読む」技術が要求されます。これが職人技です。リストラによる人員削減は、この「先を読む」技術が継承されなくなっています。また、「余裕」がないため人間の些細なミスをカバーできずに死亡事故をいとも簡単に起こしてしまいます。普通は些細なミスならカバーできるのに、何でもかんでも厳罰で対処する企業が問題です。
話が変わって申し訳ないですが、私は郵便配達員です。企業体質がいわゆるJR西日本とよく似ています。最近では、職員の接客態度のランク付けで「接遇・マナーレベル認定制度」と称して自己診断とお客さまの苦情をもとに郵便課長および局長が診断・認定します。1つ星(4級)から4つ星(1級)まで4段階あります。1つ星がもらえない人は、最小限の接客態度もなっていないということで、郵便配達に出してもらえません。1つ星の条件の中に、速達や書留を配達するときに「自分の名前を名乗ること」があります。
また、配達の遅れを取り戻そうとして単車のスピードを上げる人が少なからずいます。何らかの理由で終業時刻に間に合わなかったときは、「超過勤務(超勤)」になるのですが、「経費節減」のために「平常物数」と同等かそれ以下で超勤すると「指導」(対話票に記録される)を受けます。この1年間の人事評価のときも、「不必要な超勤」を繰り返したということでマイナス査定になります。評価によっては、次年度の定期昇給が1ランク下がります。私は、しばしばオーバーラン(配達すべき家を通り過ぎること)して逆戻りするために、「所定の時刻」によく遅れます。
トヨタ方式が導入され、労務管理中心の人事交流(配置転換)がやられて誤配が多く出ていること、民間の宅配業者のメール便が段ボールに何箱も配達されず倉庫に積まれていたこと等から、郵便が民営化されれば、個人金融資産や郵便への信頼が崩れるのではないかと危惧しています。
スポンサーサイト