─遺族年金─ ここでいう遺族年金は、社会保険で言うところの労災保険と国民年金と厚生年金保険の3つの制度における死亡給付を指します。
もし、家族のうち誰かが死亡した場合、遺(のこ)された人であれば誰でもお金がもらえるわけではないのです。民法でいうところの遺産の相続人でもないのです。特に国民年金(遺族基礎年金)では遺族の範囲が狭く、「子」のある妻か「子」だけです。しかも、「子」は年齢条件があって、障害がなければ18歳の年度末(高校生以下相当)までです。独身であることも条件です。もちろん、最先順位者は配偶者です。ここでは、女性である妻だけです。
もし、遺族基礎年金をもらえる人がいない場合は、ほんのわずかな一時金だけです。仮に、自分に高校生以下の子供が1人いたとして夫(子供の父)が死ぬか妻(子供の母)が死ぬかでもらえる金額に天地の差ほど違います。夫が死ねば、子供が高校を卒業するまで毎年約120万円はもらえます。
けれども、妻が死ねば、死亡一時金の最高32万円の1回ポッキリです。これが女性の命の値段なのです。「一家の大黒柱は父である」というのが制度の目的だと言われているが、母といえども働いています。実際に女性でなければならない仕事が数多くあります。
次は、仮に夫婦が正社員で共働きだとします。子供はいなくてもかまいません。業務外でどちらかが死んだ場合、夫が死ねば再婚しない限り生きている間ずっと厚生年金(遺族厚生年金)がもらえます。しかも「子」のある妻であれば国民年金も上乗せされます。
反対に妻が死んだら自分が健常者で60歳未満である限りは厚生年金による給付ははビタ一文もらえません。強いて言えば国民年金の死亡一時金だけです。妻の給料から天引きされた厚生年金保険料は全くのムダになります。ちなみに妻が死んだ当時自分が55歳以上60歳未満は受給権はあるが60歳になるまでは年金は出ません。
業務上または通勤災害で死んだ場合、労災保険から遺族補償年金がもらえることになっていますが、この時の遺族となるための条件は厚生年金とほぼ同じです。例えば子供のいない夫婦が54歳以下の共働きであれば、生きていた当時の給料の影響を受けるが、夫が死ねば年金で妻が死ねば一時金です。この一時金(遺族補償一時金)は結構高いのですが、夫婦の月給が同じである場合は7年で年金に抜かれてしまいます。但し、妻は再婚しないで生きていることが条件ですが。
確かに公的年金制度や労災保険は生活保障のためにあります。しかし、制度の一部には、古い考えを残したまま「改革」されているものがあります。「男は仕事、女は家庭」という封建的な考えがこの公的年金制度の中に現在も生きています。
これがいやな人は簡保を含む民間の生命保険や個人年金に加入することになります。しかしながら郵政民営化が叫ばれている中では民間はおろか簡保も不安が残ります。ゼロ金利の中ではあの国民年金までもが不安が残っているのです。与野党含めて年金制度における男女差別を取り上げた政治家は誰一人いません。
これを読んでいる皆さんには、ここ新世紀ユニオンに入って自分の雇用と安全を守ろうと一言申し上げたいです。「今すぐにできることを」と私は申し上げたいです。>
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