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産業医の診断で、会社は復職を拒否できるか


 私は上司のパワハラによりうつ病になり数ヶ月休みました。このほど主治医の就労可能の診断書を会社に提出して、復職しようとしました。ところが会社が産業医の診断を受けるよう命じてきましたので受診すると、産業医は「復職は無理である」との診断結果で復職できませんでした。あと何ヶ月かすると就業規則で無給の休職になります。どうすればいいでしょうか?


 最近うつ病で休んだ後、会社が復職させてくれないという相談が増えています。これは会社が「厄介払い」をしようとしている結果です。
 ハラスメントによるうつ病の場合は、元の職に復帰するよりは配転で環境を変えるほうがいいのですが、産業医が「元の職場でいい」と判断を下す場合もあります。
 はっきりさせておくべきは、精神科の場合、復職が可能かどうかの診断を下せるのは主治医のみであり、会社の産業医が初めて診断し「復職は無理だ」とか「配転は必要ない、元の職場でいい」とか診断を下すことはできません。
 あなたの場合は主治医の「就労可能」の診断書が出ているのですから、復職する権利があります。
 また元の職場でハラスメントをした社員に対し、会社は専門家に依頼して人権教育する義務があります。労働契約法第5条は、労働者への安全配慮義務を定めています。ところが企業側がハラスメントを防止する意識が低く、うつ病で休んでいた人が復職すると、すぐハラスメントが再開されるという現実があります。
 日本の企業は社員がうつ病になると、その原因となるハラスメントをなくすのではなく、うつ病になった労働者を退職させる傾向が強いのです。これは明らかに間違いで、ハラスメントを解決することが会社の利益になるのです。
 相談者の場合は会社は復職させる義務があり、産業医が主治医の診断を覆す(くつがえす)権利はありません。元の職場への復帰が可能となるようハラスメントをした人物を配転するなり、教育して復職させるべきです。元の職場への復帰が無理というなら会社は別の職場を用意する義務があります。
 あなたの場合パワハラする上司がいる職場への復帰は精神衛生上に悪いので、あまり勧められません。
 ユニオンに加入して、団体交渉によって、この上司のいない職場への復職を要求するのがいいと思います。なお病気からの復職等については就業規則の定めがどうなっているかが重要なので確認してください。無給の休職にならないうちに復職を勝ち取る方向で団体交渉をするべきで、会社があくまでも復職を認めないときは地位確認の裁判をも考慮しなければなりません。
 なおパワハラの相手に対しても慰謝料を請求すべき事案です。パワハラの証拠を録音して訴訟で争う方法もあります。
 パワハラ、いじめでうつ病になった場合は、泣き寝入りが一番いけません。闘って決着をつけてから次の職場に転職するのが精神衛生上は一番いいのです。
 あなたには新世紀ユニオンに加入して闘って職を守ることをお勧めします。日本の企業がハラスメントの一掃に無自覚であることが職場でうつ病を増やしている最大の原因であり、会社にはハラスメント対策をとることを要求しなければなりません。
 新世紀ユニオンはあなたとともに雇用を守るために闘います。
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