問 年俸312万円で雇用されました。就業規則には年俸には「月45時間の残業手当を含む」となっています。しかも入社してすぐ給与が5%カットされました。年俸制なのにおかしいと思います。しかも土日祝日休みと聞いていたのに、途中で休日が日曜日のみとなり、賃金も出ません。
そんな疑問もあって退職を考えていますが、就業規則を見ると「退職希望日の3カ月前までに申し出なければならない」と書いてあります。私は3か月前に申し出なければ退職できないのでしょうか?
答 年俸制がどのような年俸制か? 312万円を12等分し支払っているのか?入社時の雇用契約(労働条件の文書明示)を確認してください。月45時間の残業手当(割増賃金=125%)がきちんと計算されているか給与明細で確認してください。
土曜日の出勤分が週40時間(労基法)の枠内にどういう扱いになっているか? 月45時間の中に土曜日分が含まれていないのなら未払い賃金として請求できます。
年俸制の場合、1年ごとの期間契約になっている可能性もあります。この場合5%の賃金カットは違法の可能性があります。つまりは年俸制の具体的中身がはっきりしないと、違法か合法かは判断できないのです。
312万円の年俸制の中に年間540時間の残業代が含まれているとするなら非常な低賃金と言わねばなりません。もし年俸制を口実に残業代を支払わない、休日出勤の賃金も支払わない、途中での5%の賃金カット、というのであれば違法であり、年俸制を賃金不払いに利用している典型的な例と言えるでしょう。
さて就業規則に「退職希望日の3カ月前までに申し出る」と書いてある問題ですが、もし年俸制が1年間の契約(期間雇用)になっている場合は、途中退職は契約違反となり、慰謝料の支払い義務が生じます。従ってちょっと長いですが就業規則の「3カ月前までに申し出る」と言うのは違法ではありません。
期間雇用ではなく、期限の定めのない雇用の場合、契約の解除(解約)は民法で2週間前に通知しなければなりません。この場合給与の支払方法がどうなっているのか(何日締め、何日支払いか)で変わってきますので労働基準監督署で相談してください。その場合入社時の雇用契約書(労働条件通知書)と就業規則、給与明細、印鑑を持参してください。
あなたの相談内容の場合、会社が年俸制を賃金不払いに悪用している可能性もありますが、逆に合法的に計算している可能性もあります。年俸制といっても、さまざまあって、契約内容、就業規則、給与明細を見なければ、何とも答
えようがありません。
一般的に労働相談を受けていて言えることは、年俸制が賃金削減の手段となっていることが多いこと、また能力や成果を口実に賃金額が経営者によって恣意的に決定されることが多いこと、また年俸制を口実に大幅な賃金削減を一方的に通告することで、退職強要の手段として悪用されていることが多いことです。
あなたの場合、年俸制が低いにもかかわらず、月に残業代45時間を含むという点、また一方的に5%の賃金カットをしていること等から長く働く会社とも思えません。退職を考えるのは当然だと思います。
なお、相談者の場合、退職後に公共職業安定所(ハローワーク)で求職の申し込みをする場合、雇用保険(失業等給付)で有利な扱いが受けられます。雇用契約書の確認が必要ですが、「労働契約の締結に際し明示された労働条件が事実と著しく相違したことにより離職した者」として特定受給資格者として取り扱われます。
年齢や前職の期間(間が1年を超えないこと)によって違いがありますが、所定給付日数(何日間お金をもらい続けられるか)で有利な取り扱いが得られます。ただし、受給資格要件として特定受給資格者にあたる場合は離職の日以前1年間に、被保険者期間が6カ月以上必要です。前職を含みます。
詳しいことや一般的なことはハローワークのホームページ http://www.hellowork.go.jp/html/info_1_h.html をご覧になるか、最寄りの職安へお問い合わせください。
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