問110年ほど働いた会社を最近辞めたのですが、最後の2ヶ月分の賃金(約50万円)を支払ってもらえません。社長は在職中の家族の病気時の欠勤や残業をしなかったなどの「迷惑行為の慰謝料」を口実に「支払えない」と言っています。どうしたら払ってもらえますか?
問2退職届を出すと、社長から仕事のミスがあったと10万円の損害賠償を請求されました。仕事の指導もしないのにミスを言うのはおかしいと思います。私が退職時受け取るはずだった基本給は11万円です。
問3
退職届を出して、同時に有給休暇を30日分出し休暇に入りました。すると社長から仕事のミスがあったので15万円の損害賠償を払いなさい、との内容証明が届きました。それによると給料15万円と「損害賠償」を相殺するというのですが・・・。
答 終身雇用制の時代には、あり得なかった相談です。経営者は強欲なので退職届を出した人には賃金を払うのが「バカバカしい」と考えるようで、最近同種の相談が増えています。
はっきりさせておくべきなのは、既に働いた賃金については全額現金で支払う義務があり、本人が認めてもいない仕事上のミスによる損害賠償はまた別の問題であり、これを同意もなく賃金と相殺したり、天引きすることは違法だということです。
在職中の「迷惑行為の慰謝料」や「仕事のミスによる損害賠償」は別に裁判で請求すべき問題です。
従って会社(社長)に対し内容証明郵便で、不払い賃金を(本状送達後10日以内というふうに)期限を切って請求し、同時に「慰謝料」もしくは「損害賠償」の原因となる事実はないこと、従って給与との相殺は認めないことを明らかにしておくことが重要です。
こうした争いの場合にはまず証拠をそろえることが重要です。(同僚の陳述書や内容証明、給与明細、就業規則等)その上で(1)ユニオンに加入し団体交渉で解決を目指す。(2)労働基準監督署を利用する。(3)裁判の少額訴訟(請求金額が60万円以下)を利用する。
なお裁判での和解のときは、会社側の不履行のときの遅延損害金を定めておくことが必要です。
退職していく労働者に給与を支払いたくないため「仕事のミス」や「お客様のクレーム」や「迷惑行為」を捏造し、賃金と相殺するのは違法なので絶対に拒絶して下さい。
こうした退職時の賃金の未払いが急増していることが示しているのは、経営者のモラルが崩壊しているということです。何でもいい「慰謝料」や「損害賠償」の口実さえ作って賃金を払わなければ“泣き寝入り”すると考えているのです。
労働者の方は、退職したのに賃金を払ってもらえないと明日からの生活が困難になり、とりあえず現金収入のアルバイトを捜して働くことになり、元の会社との争いに時間をかけることができにくくなります。
経営者のモラル崩壊の時代には労働者は病気に備えて主治医を決めておくように、個人加入のユニオンに加入しておくことが必要条件となっていることを知らねばなりません。労働者にとって闘わなければ生きていけない時代がきているのです。
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