問 会社は残業代を一切支払わず劣悪な労働条件であったため、社員全員が不満に思っていました。私は組合結成を考えて個別に話していきました。社員の怒りが高まって全員で集会を開き社長に要求書を出しました。
しかし要求が無視されました。そのため労働基準監督署に申告したので調査が入り、一部の人に残業代が支払われました。その後会社は「労務屋」を雇い調査を進め、中心であった私は「ミス」を口実に解雇されました。
組合は結成出来ないまま、仲間は動揺しています。どうすればいいか教えてください。
答 新世紀ユニオンのホームページには労働組合の作り方が掲載されています。簡単に引 用すると以下のとおりです。
1)経営者に悟られないようにグループ(骨幹)を作る。
2)骨幹で労組法・労基法の学習会をおこなう。
3)組合結成の準備会を作り、要求作りと組合規約を作る。
4)非公然に組合加入を呼びかける。
5)結成大会を開く。(4と5は逆でもよい)
つまり組合結成を先にしてから要求書提出を後にすることが重要なのです。労働組合法を読めば解りますが、組合結成を先行させれば要求提出後の会社の攻撃が不当労働行為(労組法7条)となるのです。
労働組合法の保護を受けられるようにして要求しないと報復を招く事になります。労働組合が出来ていないのに要求書を提出するのは「解雇してくれ」と言っているようなものです。無謀としか言いようがありません。
組合は2人で結成出来るのですから、あなたはその後で全員集会をやるべきでした。何事であれ物事を達成するには段階性を無視してはなりません。新世紀ユニオンの労働相談で「社長に賃上げを訴えたらその場で解雇されました」といった相談が実際に多いのです。
組合を結成するか、もしくはユニオンに加入して、地位の保全を図った上で賃上げや残業代を要求するようにして下さい。
さて質問の解雇に対する相談ですが、組合結成の準備中に発覚して解雇されたわけですから、不当労働行為の証拠を集めることが重要です。またデッチアゲの「ミス」についても証人や証拠を用意して下さい。
次に就業規則を見て、解雇が適法にやられたかを確認して下さい。この間の解雇にいたる経過と解雇の不当性を内容証明郵便で明らかにし、解雇の撤回を求めて下さい。
(内容証明は証拠になります)孤立したように見えても仲間はあなたを同情していますから証拠集めに協力してくれると思います。ただし、労務屋によって手先にされている人もいますから注意が必要です。
証拠が集まったら裁判で勝って原職復帰することを目指して下さい。今多くの職場で賃下げ、長時間労働、不払い残業などがやられているため、労働組合結成の願望が労働者の中に高まっています。しかし組合結成は素人がやっても失敗に終わることが多いのです。あなたは新世紀ユニオンに加入して指導を受けながら進めるべきでした。
要求書を提出し、監督署に申告すればそれは会社への「宣戦布告」です。組織的準備も学習もせずにしかも認識統一を計らずに行うことは無謀です。
会社はプロの労務屋を雇っているのですから、あなたが新世紀ユニオンに加入することが問題解決の第一段階と心得て下さい。
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