問 「会社に遅刻しそうなので」と同僚に頼まれて、私が友人の代わりにタイムカードを打刻したことが露見し、会社に懲戒処分されました。処分内容は「出勤停止10日プラスボランティアでの労働」です。(ボランティアの労働は通常の仕事とは別の仕事です)
就業規則には、出勤停止は処分として記入されていますが、「会社でのボランティアの労働」は記入されていません。会社は「代わりのタイムカードの打刻は解雇だが、君の仕事上のこれまでの貢献を考慮した処分だ」と言っています。
私はこの処分は「二重処分」ではないかと思っています。処分に素直に従うべきか、迷っています。どうすべきでしょうか?
答 あなたへの処分は、二重処分というよりも「10日分の減給処分」を「出勤停止10日、プラス社内でのボランティアでの労働」と言い換えたものです。二重処分と言う場合は、一度出勤停止にしておき後で同じ理由で解雇するような場合に“二重処分”にあたります。
減給処分の場合、労働基準法91条で「減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金総額の10分の1を超えてはならない」となっています。したがって実質上の「10日分の減給」は明確に違法な処分といえます。
会社もそれが解っているので「出勤停止10日、プラス会社でのボランティアでの労働」という、その処分そのものが矛盾する内容の処分をしたのだと思います。
したがってあなたの受けた処分は明らかに不当な処分です。しかしその違法性を主張すると、タイムカードの変わりの打刻は、懲戒解雇の判例(八戸鋼業事件)もあるので、解雇を招くかもしれないので処分に反対するのは考えものです。
解雇になるよりは、10日の「ボランティア労働」の方が軽いのですから、後々しこりを残さないという意味で違法処分を黙って受け入れるのも1つの選択です。
戦略的には、就業規則に明記されている「出勤停止10日は受け入れるが、就業規則に書かれていない会社での無給労働は拒否します」と答
えることも可能です。
法律的にはむしろこれが正しい態度ですが「懲戒処分を軽く済ませてやるためだ」という会社の怒りを買う“リスク”が残ります。したがってこの場合は懲戒解雇を逃れるため、違法処分と解った上で処分を受け入れるのが正しい判断です。
すべて法律で判断するのは法的観念論であり、違法処分を受け入れなければならない場合も、労働者にはあるという良い例です。
それにしても、すぐに“ばれる”と解っている“タイムカードの代わりの打刻”を「友人に頼まれたから」といって実行するあなたは人が好すぎます。別の表現をすれば「ワキが甘すぎます」深く反省すべきです。
反省しなければ、あなたは“リストラ時代”を生き抜くことができないことを知るべきです。
あなたのような人こそ新世紀ユニオンに加入して、労働者としての知識を普段から学び、今回のような問題にぶつかった時、携帯メールでユニオンの指導を直ちに受けられるようにしておくべきです。
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