(1)2010年の世界情勢の特徴は、マネーゲームの帰結であったリーマンショック以後の世界同時不況の下で、賃下げ、福祉の切り下げが世界中で進行し、各国が経済危機を労働者を犠牲に切り抜けようとしていることである。
また経済危機とともに地球環境の危機が広く世界に認識された年でもあった。全世界的な天候の激変と災害が地球環境を守ることの重要性を全世界の人々に認識させたことは重要である。
国際政治の面では、イラク・アフガニスタンの戦争でアメリカの敗北が明確となり、同時に中国やインド、ブラジル等の台頭によって世界の多極化が一層明確になった。
とりわけアジアにおける中国の大国主義・覇権主義の野望が明白となってきたことに注目しなければならない。
(2)国内情勢の特徴は、国民の政権交代の選択に対し、反動の側(アメリカ・官僚・財界)の巻き返しが「政治とカネ」「普天間」を口実に展開され、鳩山政権は「非小沢政権」としての菅政権にとってかわられた。これはアメリカの手先であるマスコミを総動員した陰謀・政変といえるものであった。
しかし他方では検察の腐敗・歪みが明らかとなり、日本の官僚機構の組織的劣化が明らかとなってきた。反動勢力の政策課題としての消費税10%にする菅首相の狙いがあり、また法人税減税を菅首相が財界に約束したことから、財界・官僚重視の政治が 菅裏切り政権によって展開されようとしている。また、アメリカのドル安誘導による円高は、日本企業に新たなにリストラを課題として浮上させている。
(3)こうした内外情勢の下で、新世紀ユニオンの無料労働相談は、前年に続いて高い伸びを示してきた。
労働者の賃下げ、首切り、労働強化、パワハラ、セクハラ等の攻撃は一層増え、日本の労働者が精神的・肉体的搾取強化に直面していることが労働相談に反映している。
増えつつある争議の中で当ユニオンの財政危機は、活動上多くの困難をもたらしてきた。とりわけ宣伝費の欠乏は組織活動上のネックとなっている。
闘われてきた拠出金・組合費支払い請求の裁判(本人訴訟)は、9月10日の判決で当ユニオンの完全勝利となったが、元組合人のNは支払いを拒否するため高裁へ控訴した。この裁判内容は、個人加入ユニオンの財政上の合法性を争うものとなっているので本年の高裁での戦いが重要な課題となっている。
長年の課題であったホームページの改善が組合員の協力で本年も前進し、委員長のブログともに当ユニオンのネット発信力が拡大したことは重要な前進と評価できる。
組合ニュースの改善も一定前進した。投稿が増えつつあることは評価できるがなお一層改善していかなければならない。
新世紀ユニオンの組合員の多くが職場で退職強要と闘い、また審判、あるいは裁判などで闘いを展開している。6月に開かれた組合員交流会では、職場で闘っている組合員の生き生きとした体験が語られ、どのように闘うかが論議され、交流を深めることができた。苦難は人を練磨する。多くの組合員が闘いを通じて人間として成長してきていることを確認できた1年であったと総括することができる。
多くの組合員の不当な攻撃と闘う中で困難を一つ一つ克服する中で確信を深めていることは重要な経験であり、ここから教訓を導き出して相互に学び合い、失敗を後の戒めとし、勝利におごらず団結を強化していかなければなりません。
一人一人の組合員の闘いを勝利していくことが日本の労働者の雇用を守り、労働条件の向上と団結の拡大につながることを信じ前進しなければならない。
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