年金財政を破綻させないため年金開始年齢が段階的に65歳に延長されたが、定年年齢が60歳である企業が多いことから、この5年のギャップを埋めるため高齢者の雇用の安定等に関する法律(高齢者雇用安定法)が2004年に改正された。
その主な改正点は以下の通り、(1)定年制を置く場合は、定年が60歳を下回ってはならないこと(同法8条)。
(2)65歳までの雇用確保措置を講ずる義務が定められました。(同法9条)ただし2006年度に62歳から施行され、65歳となるのは2013年度です。
事業主は、定年年齢の引き上げ、定年制廃止、継続雇用制度のいずれかの処置を講ずる法律上の義務を負っています。
継続雇用制度とは高齢者が希望するときは定年後引き続き雇用する制度のことであり、労使協定により「対象者の基準」を定めることができることになっています。
つまり、定年後の雇用の継続は希望者全員でなくてもよいことになっているのです。この「対象者の基準」は具体的かつ客観的でなければならず、希望者全員の雇用に見合う内容のものでなければ9条違反となります。 労働組合の役員であることを以て継続雇用の対象からはずすことは不当労働行為となる場合があります。
定年後の再雇用制度については60歳以上の労働者との有期契約の期間上限が5年に延長された。この再雇用時の労働条件についてはその企業において定められた制度や慣行、及び労使の交渉によることになります。
したがって特定の人物に対する恣意的な雇用延長はずしや再雇用はずしは、これを認めず闘わなければなりません。
よく当ユニオンの無料労働相談で、シルバー人材センターで働く人から相談があります。シルバー人材センターは、高齢者に臨時的、短期的に軽易な業務の機会を提供する機関であり、就業先との雇用関係は成立していません。
したがってシルバー人材センターで働く方には労基法等の適用は一切ありません。つまりシルバー人材センターで働く人には労働者としての保護は受けられませんから注意して下さい。シルバー人材センターで働いてケガをしても労災とは認められないことを知っておいて下さい。ただし企業からのシルバー人材センターへの派遣の場合は雇用関係はあることになります。
基本的にシルバー人材センターは請負また委任関係であると考えて下さい。この場合の就業先での事故で人材センターの健康保護義務違反を認め損害賠償を命じられた判例もあるそうなので、全くの無権利というわけではありません。
(まとめ)
(1)高齢者の継続雇用や再雇用が権利として認められるかどうかは当該企業の制度の内容や慣行によるのであらかじめよく調べること。
(2)継続雇用制度における「対象者の基準」は具体的、客観的でなければなりません。
(3)シルバー人材センターでは雇用関係は成立していないので労基法等の保護は受けられない。ただし派遣は別である。
以上であるので恣意的な雇用延長はずしや再雇用はずしとは裁判で闘うことも必要です。この場合当該企業の制度や慣行、労使協定、人事担当者の発言などの証拠を確保してください。
スポンサーサイト