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「アフガン・シンドローム」に直面する米社会

 イラクには今も5万人の米軍兵士が残っている。アフガンに米軍が侵略してから10年目に入り、アメリカ建国史上最長の戦争となった。オバマは大統領就任後アフガンに米軍を増派し、今や10万以上の兵力がタリバンとの戦争を続けている。
 イラクとアフガンの2つの戦争のコストは4~6兆ドルといわれている。米兵の戦死者は合計5798人(2010年11月21日現在)、負傷者は4万人以上となっている。
 アフガン派遣米兵の精神障害による除隊者は急増し、全体の11%に達している。また退役軍人のうち15万4000人がホームレスになっている。
 若い、元兵士の失業率は21.1%にも達している。昨年の米兵士の自殺率は1000人あたり20.2人だった。退役軍人の20%~30%が心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っているという。
 あらゆる数字が示しているのは「アフガン・シンドローム」がアメリカ社会を覆い始めたことである。アメリカ人民の戦争支持率は急速に低下し始めた。
 ウィキリークスの公電暴露に見られるように、アメリカ公務員(軍人)が公電を流出させるということは、かつてなかったことであった。とりわけイラク戦争での米兵の民間人虐殺場面の映像は人々に衝撃を与え、政府不信を強めさせた。
 戦争を継続するオバマへの不信感は、不況と雇用の深刻化と重なって民主党政権への批判票となって中間選挙で与党は大打撃を受けた。
 オバマは金融緩和で大量のドルを供給し、金融資本はその資金を世界中に投機し、利益を吸い上げようとしている。それは米経済の日本病(デフレ)を回避することが狙いだが、このドル垂れ流しでアメリカは世界中の政府から批難を受け、孤立を深めている。
 国の内外でオバマ政権は孤立しつつあるのだ。
 オバマは、今年の夏にはアフガンから撤兵を開始しなければならない。この撤兵がベトナム戦争以来の敗北となるのは間違いない。
 侵略戦争の敗北と他国人民の虐殺、米軍兵士の精神障害と質の低下、これらは「侵略戦争の病理」が米軍を蝕んでいることを示している。
 アメリカが今後も世界の覇権国としての地位を保つことができるのかは、和平に転換できるのか、それとも消耗戦を継続するのかにかかっている。
 アメリカ経済は、高い株価への誘導で一見持ち直しているように見えるが、これは粉飾である。実体経済は回復しておらず、個人消費も冷えたままで、失業率は悪化しているのである。
 アメリカが侵略戦争を続けながら経済危機を克服できるのか?それとも和平に転換するのか?世界中が注目している。
 イラクとアフガンの戦争でアメリカは今も一週間で30億ドルを費やしている。
 「侵略戦争の病理」がアメリカ社会と経済を蝕んでいることの自覚が、どの程度オバマ政権にあるのかが問われている。
 米下院で共和党が多数となったことが、和平への転換の阻止力となる可能性もある。
 オバマ大統領が真に「息継ぎの和平」へ転換できるのかが注目の一年となるであろう。
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