投資家にとっては「株価が安定して高い」、一般市民や又これから就職する学生達は「東証一部」というだけで、「優良企業」と思っている方々も多くいると思います。しかしその中にはとんでもない「ブラック企業」が存在する事を知って頂きたく思い、筆を執ります。
私は約4年前のパワハラが原因でうつ病を発症、休職及び復職を繰り返す中、昨年初頭から執拗・露骨・狡猾なパワハラ・退職勧奨及び会社ぐるみでの人権侵害・差別を受け、7月末に不当解雇処分を受けました。
委員長の御指南により、解雇撤回の嘆願書送付(同時に労災申請)、次に労働局の「あっせん」を9月末に実施したものの、企業側の対応は個人的にも社会的にも認容出来ない「お粗末」な内容。このままでは会社の思う壺なので、1)不当解雇撤回(解雇日以降の賃金請求含む)、2)精神的苦痛を含んだ約1,300万円の損害賠償支払を求め、即日調停を申請しました。概要を以下に示します。
<第1回目>
私は最初の譲歩案として「『解雇の受入』及び『賠償金を1300万→1000万に減額』」を提示。しかし会社側は頑なに譲歩拒否(解雇撤回、賠償金支払なし)の一点張り。この態度に対し、調停委員のお二方は、「少しは譲歩案を出しなさい!次回までに譲歩案をまとめてくるように」と会社側に要求しました(調停委員は会社側の横柄な態度に対する怒りが収まりきらない様子でした)。
<第2回目>
調停委員から告げられた会社側の譲歩案は「30万円」(一般的相場は約300万円と言われています)。当譲歩案は第1回目の調停で調停委員の要求に対する「形式的」譲歩案を出して来たに過ぎないものでした。当譲歩案に対し、私は「まともな譲歩案を提示しないのであれば、提訴しますが構わないのですか?」と主張しました。しかし会社側は「構わない」との回答。これは社長からの指示である事と推測しました。
個人的推測ですが、この会社は過去にも同様な正社員の不当解雇をかなり行っている可能性が高く(現在ペルー人及びブラジル人4名から偽装請負及び不当解雇で昨年2月に訴訟されている・・・全国紙に報道済)、そのため賠償金を支払う「前例」を作りたくないと言う意図が隠されていると推測しました。調停委員達も同様に推測をしており、「今までの経験から、(譲歩の)進展は非常に厳しい」との回答でした。
上記打開策を調停委員と話しあった結果、調停委員の一人から、「あっせん時の提示額(100万円)を利用し、『調停委員案』として会社に促す方法が有ります。これなら会社も無視出来ないでしょう。」との提案に対し、私は交渉の全てを調停委員に委ねました。交渉の結果、提示額は「80万円」。次回最終結論を出す様、調停委員は会社側にに要求しました。
<第3回目(最終回)>
会社は調停委員案を完全無視し、「30万円以上は出さない」と固辞。本案は社命であり、経営陣が直訴したにも拘らず社長が固辞したとの回答でした。金額の根拠は「給与一か月分」。この会社は勤続10年以上且つ50歳以上の退職者に対してしか退職金を出さない会社であり、上記提示案を聞かされた調停委員のお二方と私は余りにも愚弄した会社側の態度に流石に怒り心頭の様子。私も怒りを通り越して呆れるしかありませんでした。
最終手段として、私は調停委員に「今から直接社長に交渉に臨む事は出来ないでしょうか?」と尋ねた所、回答は「それが出来るのなら私達が既にやっています。もうこの会社はどうにも話になりません(社会常識を逸脱しすぎている)。」と仰りました。終了直前、調停委員の一人は、職域の枠を越えて「いち人間」として私に下記の様に仰ってくれました。
「正直言って、今回の調停は我々も弁護士として会社に『なめられた』形の結果になってしまい、その点においても非常に憤慨しています。しかしそれ以上に貴方の心情はその比ではないことも良く理解しております。貴方があのようなバカな企業に労力を費やすのは日本にとって『貴重な能力の無駄遣い』です。その能力を新たな場所で日本の為に使って頂きたい。そして、会社を見返してやって下さい。貴方の未来に期待しています。」
最後に裁判官・調停委員・書記、私及び会社側同席の上、裁判官から和解成立の宣言がなされ、和解金は10日以内に私の指定口座に振込まれる事となりました(調停委員が「これだけの金額なら即時に支払え」と促したとの事)。<所見>
今回の調停は、「企業側の傲慢な態度」で押し切られた形で終わってしまいました。終了後の手続で事務所に立寄った際、会社側から何食わぬ顔で「(退職)手続きの件で…」と私に話し掛けて来る始末。私は一言、「解決金を支払ってから言う事でしょ?何も言う事は有りません!」と全ての怒りを込めて冷淡に言い放ちました。
当該会社は「『最低最悪の企業』としか言いようが無く、『東証一部の仮面を被ったブラック企業』」と言っても過言ではありません。経営陣は、日本企業の経営陣の一番汚い分の中における、最も汚く狡猾な「人間の仮面を被った『ケダモノ』」経営陣の集まり」であると感じ、未だ「腸が煮えくり返る以上の感情」はあるものの、「これ以上こんな輩共と関わるのは調停委員の仰る通り得策ではない」の言葉に決心し、上記案で「妥協せざるを得ない」のが最善策だと自分に言い聞かせました。「まだ私には未来がある」と。
同時にパワハラ・セクハラ等のハラスメントに対する司法体制(法整備、審判制度等)が未整備であるともこの調停を通じて感じましたので、早期に体制の充実を望みたく思います。唯一の救いは、調停委員のお二方が「弁護士」という枠を越えて私に対して「人間として」最大限の策を尽くしてくれた事です。この場を借りて彼らに感謝の弁を述べたいと思います。
会社がいかに一流企業を偽装しても、社員を「下僕」扱いしている限り、企業イメージは悪化していくことになります。私はブラック企業から追い出されたことを「良いこと」と考えて、今後は、早急に離職関係の手続きを進め、事実上会社との関係を断ち切り、生活再建のためのアルバイトをしながら、就職活動に注力するつもりです。
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