オバマ米大統領の支持率が早くも49%となった。オバマは就任直後は69%という高水準の支持率を維持してきたし、今年7月初め頃までは6割台の支持率を維持していた。夏以降の支持率の低下の原因は医療保険制度の改革が強い抵抗で進まず、雇用情勢の悪化が進んだためである。
したがってノーベル平和賞受賞も支持率アップにはつながらなかった。オバマは今もイラクとアフガニスタンで戦争を続けているのであり、そもそもノーベル平和賞の受賞がブラックジョークと受け取れるほど違和感があった。オバマが、このまま泥沼化しているアフガニスタンに米軍の増派を続けるとアメリカ経済が疲弊していく可能性が出てくる。
オバマの最近の一連のアジア訪問も成果と呼べるものはない。オバマは中国の温家宝首相に、米中両国が中心になって世界秩序を決める「G2」を提案したが、中国側に反対されたのである。
オバマと鳩山の日米首脳会談でも普天間移設問題をタナ上げして「日米同盟の深化」で合意したが具体的成果があったというわけではない。
オバマは日本が離米を始めたので、中国にG2を提案したが、(1)中国は発展途上国であること(2)中国はどの国とも同盟しない(3)世界のことは各国が共同で決めるべきであり、二つの国で決められない。と反対されたのである。
アメリカが中東重視を続ける限り「アジア重視」は口先だけと思うべきである。
米本土の陸軍基地内での銃乱射事件は、イラクとアフガニスタンでの長期(8年)の戦争がアメリカ兵士の心の傷を拡大していること、したがって米世論が撤兵へと大きく流れを変えたこと、こうした中でオバマは予定していたアフガニスタンへの増派を決定できなくなっている。
景気が回復したと言われている米国内景気は、相変わらず消費が低迷しており、失業率は10.2%に達した。米国内では雇用創出と未就業者の保護の両面での対策を求める声が強まっている。医療保険制度改革は、高負担を恐れる人々の反対で議会での審議が進んでいない。このためオバマは国内で成果をあげられないので外交での注目を集めるため核廃絶を語ったのである。しかし核廃絶は口先だけのことで成果と言えるものではない。以上のように現在オバマの前には4つの困難がある、1つめは医療保険制度の改革であり、2つめはアフガニスタンの戦争、3つめはアメリカ離れを始めた日本への対応である、4つめの困難はアメリカ経済を成長軌道に乗せ雇用を生み出すことである。
この4つの困難がオバマの悩みであり、支持率急減の原因なのである。
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