新世紀ユニオン発行のニュース

決断するその時、そのわけ

 僕は、僕の父親の目をきちんと見て、言った。
 「いまの学校にいて分かったことがあるんだ。なにかが間違っているのに、それが当たり前みたいになってたら、そのままにしておいちゃいけないんだ。間違ってるぞってちゃんと声を上げたり、間違いを気づかせるために行動する人間が必要だと思うんだ。
 僕はそのためにいまの学校にいたいと思ってるんだ」
(金城一紀 2011 『レヴォリューション No.0』142頁)

 2011年、私は春という季節の厳しさと優しさをかみしめながらこの原稿を書いている。
3月末に職場から私に届けられた封書には懲戒解雇通知が入っていた。「なぜ、どうして」怒りと不信が体中を駆け巡る。「こんなに真面目に勤めてきているのに」という叫びとなる。
 学部卒業以来、がむしゃらに働き、仕事は今ではまさに生きがいになっている。そんな私につきつけられたのは、先の通知だった。
 今の職は天職だと思えるもので、働き続けることができる限り、現場にいたい。定年退職という日がそう遠くはなくなった今、望みはそれだけなのだ。もし、私が職務を怠っているなら、解雇されても仕方がない。
 けれども、いつ、どのような、怠慢をしたというのだろう。
 労働者は労働力を提供し、対価として給与をもらうのではないのだろうか。この職場でともに働く人たちの多くは、本当に少ない給与で、それでも誠心誠意、仕事に励んでいる。
 しかし、この職場では、多くの不平等、不公平が生じている。肝心の給与がまずそうだ。経営者側の給与と一般勤務者の給与に、あまりに大きな開きがある。
 それは仕方がないとしても、経営者と何らかのつながり、つまり縁故がある一部の人たちには、ボーナスが支給されているとも聞いている。“ボーナス”、もう7年間、私にはご縁がない言葉だ。
 世の中はすべて不平等なのかもしれない。しかし、いや、だからこそ働いたら、それに見合う給与を相当分もらい、昇進の機会を平等に与えられるのが、この国での法の定めるところではないのか。
 私の職場では、日常「ここは法治国家の日本なのか」と疑問に陥ることも度々ある。
 例えば離職者、つまり元同僚と付き合うな、と注意される。また、社会活動で表彰された時には、直接の上司から経営者たちに謝罪しにいくように要求された。一方、経営者側が企画する講演会などのチケットは強制的に購入させられる。
 休日といえども呼び出され、業務を命じられることもしばしばで、これらはすべて無償奉仕だ。それでも、雇用者に対するロイヤリティが低いといわれる。労働者は、労働力を提供するだけではだめだというのだろうか。
 怖いのは、そんな日常にいると、いつしかこういったことがまるで“あたりまえ”になってきてしまうことだ。この“あたりまえ”感がくせものだ。今、職場を離れてわずか半月で、自分が疑問をもちながらも何となく従ってきたことの多さに気付き、おののく自分に出会うことになった。
 子ども時分にあれほど輝いてみえた21世紀。けれども、その新世紀は、迎えてみると、自分の予想とはかけ離れた社会が顔を露わした。利己主義や拝金主義があたりまえのように幅をきかせているのではないか。自己責任という冷たい言葉がまかりとおり、弱者が平気で切り捨てられていく。リストラで得をしているのは誰なのか。
 冒頭のことばを読んでもらいた。「なにかが間違っていると思ったら、そのままにするんじゃなくて、声を上げることが必要なんだ」。私は声をあげ、行動することにした、労働者の一人として。(さいとうゆき)
スポンサーサイト
!!ここに掲載の広告は 当ユニオンとは一切関係ありません!!
コメント
コメントの投稿
管理者にだけ表示を許可する
 ブックマークこのエントリをはてなブックマークに登録 このエントリを del.icio.us に登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 この記事をPOOKMARKに登録する このエントリをSaafブックマークへ追加 newsing it!

プロフィール

ユニオンニュース

Author:ユニオンニュース



一人でも入れる労働組合「新世紀ユニオン」が発行するニュースのサイトです。

新世紀ユニオンの組合費、拠出金等に関する高等裁判所の判決文を掲載しました。 拠出金高裁判決

検索フォーム
アーカイブ

カテゴリ

最新コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
  1. 無料アクセス解析