世界のトヨタの欠陥車問題を見ても、今回の東京電力の原発事故を見ても、また様々な不祥事が続発する企業や大学や官僚組織などを見ていると、日本の組織経営の指導部のレベルの低下、とりわけ危機管理ができておらず、ただ目先の利益を追い求めるだけの傾向を強めていると思うのである。
日本の企業は技術を売りにしてきたのに、トヨタの欠陥車、東電原発の重大事故は商業的にも打撃であり、日本の企業が今指導能力という弱点を持ち始めている現れと思わざるを得ないのである。
リストラ相談を受けているて感じるのは、その企業に必要な優秀な多くの人材が、ねたみや嫌がらせや陰謀で退職に追い込まれていることである。
指導者に人を見る目がないために、みすみす優秀な人材を失っている企業が多いのである。
能力がないのに出世欲だけは旺盛で、ゴマをする。さらには優秀な同僚のデマ、中傷を振りまき追い落としている社員が増えていることも知らずに、企業として絶対に失ってはいけない人材を退職させているバカな経営者がいかに多いか、私は日々の労働相談でそれを痛感しているのである。
部下の能力を正しく評価せず、テーマや中傷やウワサ話を信用して人事を行っていないか、経営者は深く反省すべきであろう。
優秀な人材が不当な理由でいかに多く処分されたり、窓際に追いやられたり、また解雇されているかを私は日々の労働相談で嫌というほど、見聞しているのである。
グローバリズム(新市場主義)の目先の利益第一の経営が拝金思想を蔓延させ、愚劣な経営者を増やし、その経営者を一層愚劣な社員が利用して出世をする。その結果日本企業(特に大企業)は失ってはならない優秀な人材を次から次へと捨てているのである。
能力のある人材が、社内で能力を発揮できる仕事やポストを与えられず、捨てられたり「飼い殺し」されているのを一番多く見聞する立場にいるものが声を上げなければならないと、私はそう考えるがゆえに、ユニオンの指導者でありながら、あえて企業や各組織の経営者の指導能力の劣化を指摘しなければならない。
原発のようなモンスター的エネルギーをコントロールできないのに、「想定外」という言葉で責任逃れを図ろうとする愚劣な経営者に原発の管理をゆだねてはいけない。
自動車は人の生命を運ぶものであるのだから欠陥など出さないように実験を重ねた上でなければ販売してはいけない。
目先の利益第一の経営が「安全」や「危機管理」を犠牲にしているのであり、その背景に優秀な人材を活用できない経営者の指導能力の劣化が起きているのである。
人間は優秀な経営者であっても愚劣なリストラ、汚い労働条件の悪化をやり続けると、人間が姑息になる。この姑息なメガネを通して部下を見ると、デマや中傷を見抜くことができなくなるのである。つまり労働者(社員)をクビにして利益を増やし、株価を上げる姑息なリストラ経営が今日のような優秀な人材を次々と企業から追い出すような愚劣な経営者を多く生み出したのだと思う。
日本企業は、この点をこそ「カイゼン」しないと日本は三流国家に転落することになるであろう。
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