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労働組合法上の労働者かどうかの判断基準

 前号「Q&A」欄でも触れられていましたが、4月12日、最高裁判所で「業務委託契約」という形式で労務を提供している個人事業主が多くの場合で「労働組合法上の労働者に当たる」との判断がなされました。
 この裁判では(1)オペラ公演を多数主催している財団と契約する合唱団員、(2)会社と業務委託契約を締結して修理補修の業務に従事するカスタマーエンジニアのそれぞれが加入する労働組合が団体交渉を申し入れたところ、財団や会社は「労働者ではない」として団体交渉を拒絶した。という案件でした。
 労働委員会や下級審は労働者性を認めたり、認めなかったりとまちまちの判断をしましたが、最高裁は判定する上でのいくつかの基準を示していずれも「労働者」であるという判断をしました。
 これらの最高裁判決の内容から労働組合法上の労働者に当たるかどうかの判断要素となると思われるものをまとめておきます。
(1)事業組織へ組み込まれているかどうか
 労務を提供する者が、事業者の事業活動に不可欠な労働力を恒常的に供給して組織に組み込まれている者であるかどうかという視点です。労務提供者がその事業者以外の事業者の業務を引き受けられるかどうかという点も判断材料になります。
(2)業務依頼を断れるかどうかの自由
 業務遂行の依頼を労務提供者が引き受けたり、拒否したりする自由があるかどうかという点です。たとえ契約上はその自由があっても拒否すると簡単に不利益な取り扱いがされたり、制裁があったりすると認められません。
(3)契約内容が一方的に決められているかどうか
 契約が個別に交渉して内容を決めるようなものでない場合は認められません。定型的な契約書にサインするだけの場合などがこれに当たります。
(4)労務提供の日時、場所についてあらかじめ決められいてるかどうか
 労務提供者が労務の提供にあたり、時間や場所が一定の拘束を受けているかどうかなどが判断基準です。
(5)労務のやりかたについて指揮命令性がどの程度あるか
 指揮命令をどの程度守らなければならないか、作業マニュアルにより作業内容や接客態度などを具体的に指示されているか、会社の名刺や身分証明書を持っているか、毎日報告書を書くことになっているかなどが判断基準になります。
(6)報酬が労務に対応しているかどうか
 報酬が労務の提供に対する対価と言えたり、それに類するようなものが判断基準となります。
 これらの判断基準からみると「業務委託契約」というような名称で労務を提供しているが、実際には雇用関係であるというような業態で働いている労働者がとても多いということが言えるでしょう。
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