企業の中には過去にユニオンとの団体交渉や審判の経験を積んで、労働者を退職に追い込む手口が一層巧妙になってきています。ユニオンとの団交も弁護士や社労士が同席し、一切要求には応じないやり方をしてくる企業が増えてきました。
以前のように簡単には解雇せず意地悪をして退職に追い込む手法が増えています。呼び出して「働く仕事がない」等と長々と精神的に追いつめ、会社都合にしてやるとだまし、退職届に署名させるのです。自分で退職届に署名すると絶対に会社都合の解雇にはなりません。
解雇して、すぐ予告手当を振り込み、離職票とともに「退職所得申告書」を郵送してきます。そして「受取の署名・押印をお願いします」として「これには税金はかかりません」と書き、本人がだまされて署名・押印すると、本人が解雇を追認したことになり、審判や裁判を闘うことができなくなるという仕組みです。
中には年棒制であるのに年に何回も一方的に減給して、辞めたらどうか?とささやく社長もいます。
つまり企業の側もユニオンとの闘いを通じて学び、社労士と相談しながら「追い込み漁」のように労働者を自己退職に追い込む手法を取るようになっています。
経営者は解雇すると高くつくということを学んだのです。
この結果労働相談で「つい退職届を書いてしまったが、裁判や審判で闘えますか?」という相談が増えています。しかし一度退職届を出してしまうと、闘うことは難しいので絶対に自分で退職届に署名・押印してはいけません。
解雇された労働者は、会社が巧妙に仕掛けて来る解雇追認行為をしないように注意してください。
会社が勝手に振り込んできた予告手当1ヶ月分の領収書であっても署名してはいけません。
審判や裁判で争う場合は予告手当分は、翌月の給料として受領すればよいのです。これはユニオンの指導で内容証明郵便で通告するか、弁護士に委任した場合は弁護士がその旨通知しますので本人は会社にだまされないようにしてください。
解雇の追認としては保険証や会社の鍵や身分証明書を返却させて、返却したから解雇を追認したと主張して来る場合があります。したがって解雇されても、こちらは認めていないのですから一切返さないのが無難です。
退職追い込み型の嫌がらせについては、その都度社内メールで抗議したりして証拠を残すようにしてください。
嫌がらせをやりたいだけやらせて、後でまとめて法的に反撃すればよいのです。この反撃には物証が必要です。メールや録音、必要な場合には写真を残すようにしてください。机の位置を変更して嫌がらせした場合には携帯のカメラでいいですからオフィス内の写真を残してください。
嫌がらせで胃潰瘍になったり、うつ病になった場合は医師の診断書を取っておくことが重要です。
違法な一方的減給については時効は2年ですから、抗議のメールを残しておけば、一定の機会に審判や裁判で取り戻す闘いをすることができます。
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