新世紀ユニオン発行のニュース

震災緊急支援を通して

◆「どんな日でも朝は来る!」
 3.11の直後の被災した父の言葉です。
雪が降っていてとても寒かったあの日から、春、夏、秋と3つの季節を過ごしてきて「今なにをなすべきか」ということが日本中で一人一人につきつけられています。
機会を得て臨床心理士会県支部の東北地方からの避難学生(私は高校生全員)への緊急支援に参加しています。
 学生たちは、将来をこれから自分でつくっていく青年期にいますので、大人よりもはるかに真剣に厳しい現実を客体視して、自分の今とこれからを感じ考えています。内面世界では大人に先行している彼らと接し感じたことなどをお知らせ致します。

◆「見えない、続く災害」~原発震災
 今回の震災は想像をはるかに超える地震や津波による自然災害によって甚大な被害があり、東北の太平洋岸の地域を中心に本当にたくさんの犠牲がでてしまいました。
 「原発事故で、放射性物質に汚染されているのに被曝の影響は何もないように見える。そう見えるだけ」
 と、クライアントの高校生がいうように、この震災は、リスクマネジメントミスによる電源喪失やベントの遅れ等、東電や国や自治体の人為的なミスの連発による人災である原発事故が併せて起きてしまい、①全部の被害状況が明らかになっておらず②現在も続いているし当面続き③自然災害と、原発事故に東電、国、地方行政による更なる人災が次々加わり続ける原発震災であることが、重い傷を作っています。

 放射線と放射性物質、将来~収束の目処、正しい情報の何れもが我々には見えません。
東日本を中心とする日本は、光と影、絆と不信が表裏一体のアンチノミー状態です。
福島県外避難者は、9月10日現在、福島5万5793人(9月1日では5万4462人)、岩手1578人、宮城8524人(7848人)です。
 そのうち9月20日現在の福島県教育委員会の集計によると、福島県外避難児童・生徒は9881名(高校生1029名)。

◆避難生徒のいま
 遠隔地の当県に避難してきた高校生のほとんどが他の自主避難者同様に、震災から10日~2週間後位に被災地を離れ、一家で知人や遠縁を心の拠り所の避難移住です。
 本当に無我夢中だったようで「たぶん4月上旬位に」「新学年が始まってちょっとして」と、警戒区域の1名を除き、とにかくリスクを避ける意識の高い自主避難者ばかりですが、全員が避難してきた日を正確に言うことができませんでした。

 被災生徒の大半が原発被災者です。保護者は東電関係者もいますし、理解ある会社の配慮で転勤できたり、専門的な資格等を活かして大幅な収入低下や身分の不安定化があるもののなんとか職業を得ているケースが多く、残りは父親が現地に残って仕送りをしています。

 被災の状態が大変な地域ほど自治体の税収等の確保のためか、被災や罹災証明がでにくく、関東圏等では停電のみででているのに、宮城県などでは全壊でないと被災証明がでない自治体もあり、必要な支援が受けられないで「お金よりも命!」と蓄えを崩しながら自己負担に耐えている避難者も多く、最近になりようやく事務機能が回復してきた自治体等から追い討ちのように、震災前や残してきた不動産の税金や料金等の一括払いの督促がきていよいよ窮している保護者もいて、それを敏感に感じ取り進路に悩んでいる高校生も多いです。
 被曝を覆い隠す県や国等に対して絆のネットワークで情報を得て3月には住民の8割が一旦自主避難した福島県浜通りでも、生活維持と資金切迫でほとんどが戻り、一見元の日常が戻ってきています。他方、250キロ以上離れた関東圏等でも高放射線値が報告されています。

 福島県では、夏に一時帰省した避難学生たちは、16歳以上は保護が薄く以前の雨の日の屋外の部活等があたりまえに復活する日常を目撃する一方で、節電等で「昭和な町」とともに、本人の回避行動にも役立つ線量率計ではなく「配布から回収までなんら数字を表示しないデータ解析のためのみの積算線量計タイプ」の個人被曝線量計「ガラスバッジ」が(*1個1,575円(検査代込)になぜか最大15,000円の補助を付け)ほとんどの小中学生に配布され首から下げることになった異様な日常にショックを受けていました。
 事故も被曝もできるだけなかったことにしようとして非難の声が無視できなくなれば被害者になる県では、安全上は「逃げるが勝?」と【怒り】ながらも、「何も変わらないような日常」と「あの日奪われた日常」に【取り残され感】【浮遊感】を強くしていました。

◆「いま」と「これから」
 「今」を生きる大人たちは、震災直後は大きく変わっていく現実を目の前にして、特に被災の方々はとにかく生きることに精一杯向き合いました。多くの大人は言い知れぬ焦燥感と不安感で興奮状態が続き、今なにが起き起ころうとしているのかで「寝てられない」状態だったと思います。
 その後は、少しも状況が好転しないようでありながら、「問題ない」とか「安定してきている」等の評価が公式になり弱いものへのしわ寄せが長期化していくと、【疲弊感】や【虚脱感】を感じる方が多かったようで、被災者等に対する心理的な状態についての調査でも【疲労感】【喪失感】と解される回答が多く見受けられました。

 また厳しすぎる現実に茫然自失して「経済の不安」に心を枯らしてしまっていたり、古いタイプの受容論での「真実ではない」とか「もう何でもない」という【否認と隔離】、【あきらめと居直り】のような抑圧反応を示される方も多く、マスコミの報道もそれを煽っているかのようです。
 しかし、他方、デモをはじめとして報道はされませんが、みなさまのように、【違和感】をもち【怒る】【対峙】など真正面から問題を避けずに向き合う中で新しく生まれ変わろうとする方も多く存在しているのも事実です。「震災直後の方が生き延びることだけだったから絆があってよかった。今はばらばらになってしまった」と福島の被災者がいうように、大人の多くは今混乱し嘆き戸惑っています。

 一方で、「これから」を生き「生活」を直接は負わない学生は、もともと青年期で内省的傾向、自我意識の高まりがみられる時期であるだけに、避難する過程などで内面と向き合いこれからを思うことが多かったようです。
 また、震災によって今までの日常から断ち切られた経験は重く、カウンセリングでも意外と地域やこれまでの過去の人間関係に対して強いこだわりをもち、進路を含めて本心は回帰を求める気持ちも強いです。
 まず【過去と現在の統合】、それから【未来への連結】が今避難生徒のカウンセリングの際のテーマとなっています。自己確認のために一時的に帰省をしたりなど、自分なりに統合を図ろうとしている生徒も多く出てきています。

 【動くこと】や【行動する】ことで、内面世界との折り合いを模索していく姿勢は、今は【とまっている】【さけている】大人も取り入れる必要があるようにも思います。
 学生たちは、子どもの納得が、親が避難を決める際に最終決断のきめてとなったことが多いようで、皆覚悟を決め、自分たちの健康を優先し避難してくれた保護者の選択に感謝し、3.11の日のそれぞれの被災の状況によって今でも【温度差がある】家族の中で、けなげに親の心配をしてなんとか精神的にも支えようという気持ちも、【調和】を第一に考える平成っ子たちであるだけに強いようです。
 不安・いらだち・反抗など精神の動揺が著しい時期のはずなのに、【感情の消化は控えめ】であり、被災地から遠い今の避難先では周囲の共感は全く得られないだろうと割り切って、「災害に負けずに頑張っていく」ことを望まれ、取材されていく姿をみていると、痛々しくなります。

 学生たちは「長期留学のつもり」で【防衛】をはかるしかありませんが、若さとエネルギーで【現実とともに動いて現実に溶け込み適応】しようという姿勢で前向きに進んでいますが、【過剰な頑張りと我慢】に対しては、長期的で継続的な心のケアが必要であると思います。
 しかし根本的な対応としては、学生たちが「少しも学ばない」「無責任」「懲りない」と【静かな怒り】を向ける対象である、我々大人たちが、彼らに負の遺産を残してしまった責任を感じ、せめて、彼らが【違和感】を強く感じている矛盾だらけの現状をきちんとみつめて、不都合に対してせめてきちんと声にだせるようになっていくことが、我々の務めだと思います。
 大本営発表の愚業を続けサイレントでいる限り、日本再活性化は有り得ません。
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