自殺者が14年連続で3万人以上を記録し、うつ病の患者が100万人を超えていると言われている。労働相談でも職場で上司のパワハラを受けているとの相談が増えている。
能力主義の導入とリストラ経営が上司の権力を巨大化し、職場にハラスメントを蔓延らせたのである。上司としての権力を精神的暴力(ハラスメント)に使うことを企業が容認している例も実際に多く存在している。
労働者の人格権は上司といえども尊重しなければならない。特定の個人を差別する業務命令を出したり、様々な精神的暴力を続けたりすることでうつ病になった労働者がたくさんいる。中には外国人であることを理由にハラスメントを継続的に受けている労働者もいる。日本人として本当に恥ずかしいことである。
パワ・ハラと言っても怒鳴りつけたり、暴力を振るったりするのではない、差別や言葉の嫌がらせや、草むしりをさせたりして、労働者に屈辱感を与えるのである。いわゆるモラル・ハラスメントが会社も人もダメにしている、それが今の日本の現状なのである。
1年間に3万人もの人が自殺し、ハラスメントで100万人以上の労働者がうつ病になる日本社会は、まさに病んでいると言うしかない。
セクハラと同じようにパワ・ハラも犯罪だと法律で定めないと、日本の社会は巨大な規模で労働力の食い潰しを続けることになる。少子化で労働力不足の日本が年間3万人が自殺し、100万人が病気になる状態を放置しておいていい訳がない。
日本の経営者は拝金思想に取り付かれて、権力的な手段で労働者を働かせ、超過利潤を搾り取ろうとして、ハラスメントを主要な搾取の手段にしているのだ。
そこにあるのは通常の資本主義の経済的商行為としての労働力の売買ではなく、権力的な業務命令で働かせる「奴隷労働」なのである。残業代ですら払わない企業が今なお多いのが日本の現状なのである。
継続する上司の嫌がらせは精神的暴力なのだが、現状の日本の法律では違法行為とはならない場合が多い。ハラスメント防止法がどうしても必要なのだ。
職場の違法行為を、会社の公益通報の制度を信じて通報した労働者が嫌がらせの配転を受け、日常的に様々な差別を受けている例が多くある。これではオリンパスや大王製紙のように経営の腐敗が進行するのは当然なのだ。
リストラと能力主義が職場の管理者の権力を絶対的なものにした。その結果、日本の企業社会の劣化が進行している。
管理的地位にある人が、その権力が大きければ大きいほど驕りを捨てて、人間的温かみと思いやりを差し伸べる社会にしなければならない。職場で権力をかさに部下を精神的暴力でもてあそび、職場を憎しみの場に変えてしまうことは会社にとってもマイナスであり、愚劣極まることなのだ。
ハラスメント防止法を制定して精神的暴力を刑事事件として処罰の対象としなければならない。
今のまま「労働力の食い潰し」を続けては、大きな社会的損失というべきだ。年間3万人以上が14年連続して自殺する社会とは「戦争よりも悪い平和」だと、政治家は自分達の無策を恥じるべきである。
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