問 私は健康指導の会社で働いています。仕事はチーフの指示・命令を受けながらしています。会社との間で請負契約の形で給与は100%出来高賃金となっています。
仕事の面談が終わると報告書を会社に出すようになっています。
私は自分が労働者なのか?それとも個人事業主(請負)なのかわかりません。会社はどうしてこんなややこしい契約にしているのでしょうか?
労働者かどうかの判断が私にどのような利益もしくは不利益があるのか教えて下さい。
答 労働者が労働法上の保護を受けるためには「労基法上の労働者」でなければなりません。「労働者」かどうかの判断基準は使用されること、給与の支払いを受けていることです。「使用される」こととは指揮監督を受けていること、使用従属関係にある事です。
あなたはチーフの指示・命令を受けて働いているし、仕事の報告書を会社に提出しています。給与の支払も受けているので、あなたは労働者であることに間違いありません。
実質的に労働者であるのに、なぜ会社は形式的に「請負」の形をとっているのでしょうか?それは以下の3点が考えられます。
(1) 労働時間規制の労基法の規制を免れたいこと(残業代を払いたくないこと)
(2) 労働者の「給与」の場合消費税の仕入控除を受けることができないが「請負代金」「外注費」の場合は仕入控除の対象となり、消費税が軽減されること
(3) 厚生年金及び健康保険の保険料の事業主負担を逃れるための請負偽装であること
つまり経営者の強欲があなたを「労働者」か「請負業」かわからないようにしているのです。
しかし労働者にしてみれば、その結果基本給がなくなり、100%出来高賃金という違法状態になり、仕事を回されなくなると、収入がゼロとなり、ますます会社に屈従を強いられることになります。
また請負だと残業代も払われず、社会保険も自分で加入しなければならず、労働者としての諸権利も行使できなくなるのです。日雇いと同じで有給休暇など労基法上の権利も行使できません。
近年このような労働者性を隠ぺいし、あたかも請負業であるかの偽装を行うやり方が増えてきています。卑劣としか言いようがありません。
このような詐欺的雇用形態が自由放任されていることは、自由化・規制緩和の結果であるのです。このように使用者があなたを非労働者扱いして労働契約法の定める解雇権濫用法理(16条)や労働条件の不利益変更法理(8~12条)などの労働者保護の適用を受けられないかのように思わせ、残業代の支払いを逃れるなど野蛮な搾取をおこなっていることは許せないことです。
本来はこのような「請負」偽装の雇用形態は禁止すべきであるのです。あなたの場合、裁判や審判の場では労働者性が認められるでしょう。あなたは当ユニオンに加入して労働者としての権利を回復しなければなりません。
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