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労働審判制度のいくつかの実態

 労働審判についての勉強会に参加し、労働者側の審判員を長年勤めた方や、労働審判に携わってこられた弁護士の先生からのお話を聞く機会をいただきました。いくつか特徴的なことをお知らせします。
 労働審判制度は個別労働関係の民事紛争を労働問題として専門的、迅速、柔軟に解決するための制度として創設され、2002年から運用されています。
 迅速性の面からは原則として3回の期日で終了するものとされており、平均の審理期間は全国平均で70から75日で推移しているとのことです。
 事件の種別としては7割が解雇事件、賃金、手当に関するものが6割、セクハラ、パワハラ事件が3割、配転出向問題が5%弱などとなっています。また、弁護士に依頼している割合は労働者側が8割強、使用者側が約9割と弁護士依頼率は労使双方で高くなっています。
 終了の形式では最終の審判で決着するのはおおむね2割前後、調停が成立して終了するのは7割に上ります。審判で終了して異議申し立てとなるのは約6割となっています。労使いずれかから異議申し立てが行われると労働審判は効力を失い、事件は自動的に訴訟に移行することになります。
 労働審判の申し立て件数は開始当初は徐々に増えてきていたようですがこの2、3年は頭打ち傾向となっているようです。また、都市部以外の裁判所ではやはり事件の数が相当少ないようです。年間の事件数は東京が約千件、大阪と横浜が300件前後、その他政令指定都市のあるような道府県で100件前後、その他の県は年間数件から数十件というところです。
 このことと関連して指摘されていたことが裁判所によって傍聴や許可代理(弁護士以外の利害関係人を代理人として裁判所が許可すること。おおむね労働組合の代表や配偶者などが許可されることがある)の取り扱いがまちまちであり、弁護士も戸惑うことが多いとのことです。
 これについては最高裁は各裁判所の自治に任せるとの見解を取っていること、また裁判所ごとの事件数の多寡に規定されているのではないかとのことなどが指摘されていました。
 今後の課題として次のような点が上げられていました。
1.本人申し立てへの指導や助言制度を充実すること。
2.許可代理に基準や柔軟性を持たせるよう裁判所への要請を続けること。
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