問 私は運送会社で配車係をしていますが「センター長」として事故処理もします。しかし役職手当は支給されていません。
最近タイムカードに基づき残業代を会社に請求すると、突然降格され基本給を5万円減給され25万円になりました。給与は一般の労働者と同じレベルでした。
残業代請求に対し社長は「管理職なのに自覚がない」と怒っています。
給与明細には役職手当はなく、基本給の内5万円が突然役職手当だと言われても、私には残業代請求の報復としか思えません。
「名ばかり管理職」でも残業代は請求できないのでしょうか?
どうすれば会社に残業代を払わせることができますか?
答 労基法の労働時間の大原則は、
(1)労働時間は原則として1日8時間、一週40時間を超えてはいけない(32条)
(2)休日は原則として週1回以上与えなければならない(35条)
(3)労働時間は原則として実労働時間で算定する。という3点です。
労基法は「管理監督者」には適用除外の定めがありますが、この場合の「管理監督者」とは部長クラスで人事権を持つ者をいいます。
給与が一般の人と同じレベルの「名ばかり管理職」については残業代を支払うべきことが判例で明らかになっています。
裁判では会社は「残業を命じていない」とか、その仕事は本来の業務ではない、などと主張してきます。ですからタイムカードがない場合は手帳に残業時間を記入すると同時に、何の仕事をしたかもメモをするようにした方がいいでしょう。
残業代を請求すると降格・減給するのは明らかに報復です。管理職手当が支給されていないのに基本給から5万円を一方的に減給するのは違法です。
つまりあなたの残業代請求は正当であり、「管理職の自覚がない」と社長が怒る方がおかしいのです。
残業の申請手続きをしていない場合でも最近は裁判で残業代請求が認められるケースが多いですし、あなたは役職手当はないにしろセンター長として一定の仕事上の裁量権を持っているのですから当然残業代を請求できます。
給与明細に役職手当がないのであれば、あなたは「名ばかり管理職」と見て間違いないです。役職手当が支給されていないのに、残業代請求は管理職の自覚がないと激怒して、基本給を5万円も一方的に減額することは許されません。
裁判をすると、会社(被告)は、時間外手当が基本給に含まれていると主張してくると思われます。しかしこのような主張が認められるのは残業時間と通常の労働時間に対する賃金部分が明確に区別できなければなりません。
また降格による減給だと主張してくる可能性がありますが、残業代請求を理由とする報復の降格がそもそも違法です。
一般の労働者より高額の賃金(例えば70万円ぐらい)が支給されている場合は会社のこうした主張も成立しますが、一般の労働者と同じレベルの賃金なら会社の主張は通りません。
あなたは当ユニオンに加入し、正々堂々裁判で2年分の残業代と同額の付加金を請求すべきです。
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