中国の江蘇州南通市で1万人のデモが暴動化した。日本の製紙大手の王子製紙の工場排水用のパイプライン建設をめぐり環境汚染を引き起こす恐れがあるとして、今回のデモが起きたが。同時にこのデモは腐敗と格差に不満を持つ反政府デモの要素を強く持っている。
中国では工場は何でも垂れ流しで、重大な環境破壊が起きており、これに悪名高い日本企業が工場廃液を海に流すと聞いて住民の不満が爆発した。日本企業がいかに環境対策をし、浄化した水を流すとしても、反日教育を受け,しかも公害なれした中国の人達はそれを信じるわけがない。
中国政府は反日教育をやりすぎた付けを、自分たちが被ることになっている。中国では近年環境問題で住民の反対で大型プロゼクトの中止が相次いでおり、中央政府は地方政府批判が中央への批判に拡大することを恐れ、すべて住民の要求を受け入れている。
これでは外国企業は中国への進出は控えることになりかねず、特に日本企業の場合は中国政府の「反日教育」が反映して暴動が過激化しやすいので、進出は止めた方がいい。王子製紙のように工場はできてもいつまでも稼働できないことになるのがおちなのである。
最近の中国の住民運動は、きっかけは環境問題であっても、事実上の反政府デモとなっており、中国政府はこれを扱いかねている。中国は実質的には資本主義であっても、形式的には社会主義であり、人民の国家であるため、人民運動を弾圧しにくいのである。つまり中国社会は見かけより脆弱性を持っているのである。
しかも中国政府は「反日教育」をやり過ぎているため、日本企業が進出しても暴動の攻撃対象となる傾向がある。中国政府は「反日教育」で人民の矛先が中央政府に向かないようにしているが、今回のように反日運動が反政府運動につながると、いつまでも傍観できない深刻さを含んでいる。
アメリカの干ばつによる穀物価格の高騰が、飼料や食糧価格の高騰となり、中国に「アラブの春」と同じことが起きる可能性がある。
中国はこの住民運動を領土問題にすり替える為、現在拡張主義的世論を振りまいている。中国はすでに社会帝国主義(=覇権主義)に転化していることを見ておくべきである。
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