被災地の岩手、宮城、福島の3件で震災瓦礫は約2000万トンと言われている。この処理を担当するのが環境省だが、ここの官僚が瓦礫の埋没処理に反対し、全て焼却する方針を決めた。このため焼却炉メーカーが巨大な利権にありついた。被災地に焼却炉がたくさん建設され、さながらメーカーの展示場のような状況となっている。
しかも瓦礫の300万トンを広域処理するとして全国で焼却するためコンテナで300万トンの木質瓦礫を運ぶのである。こうした瓦礫処理費用が1兆円を超えるのである。
被災地の居住区の海側に高さ20メートル幅100メートルの巨大堤防を築き、この堤防の下に瓦礫を埋めてしまえば費用も安く一石二鳥なのに、わざわざ経済合理性を無視して瓦礫をコンテナで運ぶ無駄を実行するのは、瓦礫処理が金もうけの利権化しているからである。
震災の復興予算が何兆円にも膨れ上がるのは、復興予算に群がる利権社会が原因なのである。
原発の再稼動をめぐって原発の管理体制を変えようとしても、電力会社から金をもらっている原子力安全保安院を改組することもできない。電力会社、官僚、政治家、原発企業の「電力利権」というのが原発と一体化しているのである。
だから安全の為に原発の防災指針を国の原子力委員会が6年前に改訂しようとしたが、できなかった。原子力安全保安院が反対したのである。
日本にはこのほか高速道路や飛行場建設も利権化して、必要のない道路や空港を作り続けた。これらは自公政権時に生れたものである。
「復興利権」や「電力利権」をまとめているのが環境省や通産省の官僚なのである。彼らは天下り先を作るために利権を利用するのだ。
軍需産業と防衛省・自衛隊の癒着が利権化して、戦争をやるようになることも警戒しなければならない。何でもかんでも既得利益集団が生れ、利権化するのは、大企業が国家を従属させ国家予算を食い荒らす日本社会の特徴である。これらを画策するのは官僚であるが彼らが責任を問われないことに原因がある。高級官僚も選挙で選ぶようにしなければならない。
日本にはこのほか製薬・医療利権や農業利権がある。その時代によって中心的利権は変化するのである。自動車を売るために高速道路建設を進めたように、利権には企業、官僚、政治家が癒着している。
巨大な電力利権が原発事故を引き起こした原因の1つであることは間違いない。電力利権を解体せずに原発の再稼動を許すことをしてはいけないのである。
安全神話を生み出したのは原発を利権とする連中のしわざなのであり、福島の原発事故の責任は電力会社と原子力安全保安院と東芝などの原子炉企業と官僚なのである。
日本社会の深刻な問題が利権社会であることを否定する人はいない。しかし政治家が利権社会のことを批判しないのは、利権が政治家の利益の源泉であるからなのだ。
当面電力利権を解体することから世論を喚起していかなければならない。
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