労働相談で労災隠しや、労災として扱ってもらえないという相談が少なくない。最近はマスコミでも重大労災がしばしば報道される。福島第一原発で働く東京電力社員に比べ請負会社等の社外労働者の放射線被ばく量が平均で約4倍以上に上る事がわかった。
また、印刷会社で働く労働者の胆管がんによる死者が14人に上ることが分かってきた。大阪市中央区の「SANYO-CYP」という会社は胆管がんで7人の労働者を殺したが「調査結果」では、洗浄剤ジフクロメタンの使用を確認出来なかったことにした。また、同社の健康診断を05年から08年に実施したが問題はなかったとして、補償金逃れの嘘の言い訳をしている。
東電の福島第一原発では線量計の上に鉛のカバーをかけて被ばく量をごまかして作業させている例も発覚している。
職場の過重な労働の上にパワハラでうつ病になったが労災扱いしてもらえないという相談も多い。労働者を被ばくさせた東電の福島第一原発といい、胆管がんのCYPといい、労働者の命を軽く考えすぎで、彼らは命をなんと考えているのか、聞いてみたい気がする。
自分達の利益のためなら労働者など死んでもいいと考えているのだ。こうした無責任経営者だからこそ原発事故を招いたのではないのか?
それ以上に深刻なのは多くの企業が行っている労災隠しである。企業のこうした隠ぺい体質とコスト優先の経営が重大労災を招く原因であると指摘しなければならない。
労働契約法は経営者の「安全配慮義務」を定めているが、これには罰則がない。労災死には経営者に「業務過失致死罪」を適用して刑事責任を問うべきである。
アスベスト労災や粉塵労災を見ても企業だけでなく厚生労働省の動きが遅く、その結果多くの犠牲者を出している。
調査権を持つ労働基準監督署は何のためにあるのか?現状では無用の長物となっているのではないのか?利益を追求する経営者がコスト意識から労働者の安全に金をかけたくないので、安全がおろそかにされ、結果多くの労働者を殺して多額の保障をする羽目になる。
経営のチェック機能についても指摘しなければならない。企業内組合の多くが経営側に飼いならされ家畜労組となった結果、労働組合が経営のチェック機能すら失っている現状を問題にしなければならない。
東電労組は原発の安全神話に対してどのようなチェック機能を果たしたのか、国民に説明すべきであろう。企業の手先のようなことを労組の役割と認識していなかったかを反省すべきであろう。
多くの企業でいかに労働者の命が軽く扱われ、労災死で残された家族の生活苦に対して今だに何らの補償もされていない現状がある。
経営者の「安全配慮義務」違反は重い刑事罰を課すべきであると主張したい。安全軽視は労働力の喰潰しと言うべき事態であり、刑事事件とするべき経済的戦略問題なのである。
日本でコストの口実で労働者の安全が軽視されている現状は深刻で、罰則の強化以外に方法はないのである。
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