労働者が不当に解雇され裁判を闘う時の生活費をどうするか、という問題があります。労働者の解雇事案で泣き寝入りが多いのもこの生活費の問題があるからにほかなりません。
相談者の中には貯金が無く、弁護士の着手金ですら都合できない人がいます。この場合は法テラスで借りる方法があります。
生活費については裁判の訴状の写しと離職票を持ってハローワークに行くと雇用保険の仮受給を受けることができます。(収入の5割~6割)
解雇され裁判中の人が正社員として再就職すると、会社に知られると原職復帰後の未払い賃金をもらえないだけでなく、訴えの利益が無いとして地位保全が認められない場合があります。つまり裁判中はアルバイトで食いつなぐしかないのです。
現在は個人情報保護法があるので、解雇後にその労働者が働いていても会社(被告)にはなかなかわからないので問題になる事は少ないのですが、しかし裁判中の被告の準備書面に、原告が現在どのように生活費を賄っているか開示せよ、と書いてくる場合があります。もし正社員で働いているなら訴えの利益はないし、未払い賃金を払わなくて済むと考えているのです。
このような開示請求は無視すればよいのです。解雇されて生活の糧を得るためにアルバイトをすることは裁判所も認めています。
このアルバイトの収入は以前の収入の6割以内に留めて下さい。労基法26条で定める6割の休業補償との関連で、会社が6割以上の収入があることを知った場合バックペイと相殺される可能性があるそうです。会社が知ることはほとんど無いのですが狭い業界の場合は同業者から情報が漏れることがあります。
つまり裁判中は雇用保険の仮受給にしろ、アルバイトにしろ以前の収入の6割ほどで生活しなければなりません。つまり一定程度の貯金がないと苦しいという事です。
どうしても生活費を都合するのが難しい人は3回で解決する労働審判を選んだ方がいいでしょう。
ただし審判は金銭解決(和解)です。裁判に勝って原職復帰する場合は本訴を闘うほかありません。
審判は早く解決するのですが金額はその分少ないことを覚悟して下さい。以前は解雇になると仮処分裁判をする人が多かったのですが、最近は本訴が1年ぐらいで終わるので本訴が多くなりました。
生活費が問題となる人は仮処分裁判で賃金の支給を受けながら本訴を闘えるのが利点です。しかし仮処分と本訴の2回着手金が要ります。
不当解雇された労働者は会社に一矢報いたい気持ちがあるので泣き寝入りせず頑張ります。しかし家族の多い人で貯金の無い場合雇用保険やアルバイトで生活するのが難しい人は審判を選ぶしかありません。審判は3ヵ月ぐらいで決着がつきます。
労働者はリストラに備えて日頃から闘争資金として貯金しておくのが一番いいのです。でも最近は貯金ゼロの人が2割ぐらいいるので泣き寝入りが増えています。
裁判を闘う場合の労働者の困難は資金です。アルバイトを2つ掛け持ちで頑張る仲間もいます。泣き寝入りせずに闘えば必ずいい結果が得られるでしょう。
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