現在当ユニオンの組合員で何人かの人が残業代の訴訟を闘っています。その特徴は被告企業が自分では時間管理をサボタージュしているのに、労働者側の退社時間を書いた手帳を信用性が無いと主張して来ることです。
教訓から言えることは退社時間をメモするだけでは証拠が十分でないというのが裁判官の主張です。従って残業代を請求しょうとするなら、時間のメモと、何のどのような作業をしたかをメモに残す必要があります。誰かに指示されたのならそのことも書いておいてください。
残業代の請求の根拠として就業規則の条項を指摘すると、その就業規則はすでに廃止した物と主張してきた例もあります。そうするとこの会社は廃止した就業規則を開示したことになります。自分の時間管理の義務をおこなっていなかったことを棚に上げて、原告の証拠をすべて否定する態度は見苦しいという他ありません。
残業代請求訴訟でもっとも悪辣なのが厚労相の外郭団体の○○○○機構という会社です。厚労省の天下り官僚ですから残業代不払いの手法が巧みで悪辣です。その手法を詳しく書きたいのですが、それを書くと経営側に重要な情報を与えることになるのでできません。
一部だけ紹介すると○○○○機構では出張に出す時に「生理休暇」や「年休の届」を出させます。それが出張の条件なのです。残業代を請求された時の反証を前もって用意するのです。
就業規則に「残業は届を出して上司の許可をもらってからするよう」に定めている会社も増えています。もちろんこれは「残業をかってにした」として残業代を支払わない布石です。会社のルールがどうなっていようと、ノルマが課せられていて、実際に働いたかどうかが残業代請求の根拠です。これを「黙示の指示」と言います。
ですから残業の社内ルールで許可を得ていない残業代であっても、残業代は請求できますから諦めないでください。
団体交渉で残業代を要求し、「払わない」と会社側が言うので「訴訟で闘う、その場合は同額の付加金も請求するのでよろしく」と言うとあわてて支払った例もあります。この場合はタイムカードのコピーが決め手になりました。残業の証拠は創意工夫が必要です。
タイムカードを月末に携帯カメラで写しておくのも証拠として使えます。タイムカードをわざと使用しない企業が多いので、残業の時間のメモと、その時の仕事の内容をメモや作業報告書の写し等を用意した方がいいです。
残業代を請求して、その反撃に会社が解雇して来た例が最近2件あります。残業代請求は解雇事案に発展する可能性があるので、そのことを考慮して戦術を立てる必要があります。あらかじめ解雇事案の証拠を用意しておくことが重要です。
規制緩和の影響で残業代を払わないのが当然とする経営者の強欲は、叩き潰すべきであり、けっして泣き寝入りすべきではありません。
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