新世紀ユニオンの無料労働相談で相変わらず多いのが「退職届を書いてしまった」とか、脅されて怖くなって「退職届を書かされた」という相談です。
「貴方の仕事が無い」とか、「会社の業績が悪いのでやめてほしい」と言われて唯々諾々と退職届を書いてしまう人もいます。理由がどうであれ退職届を出すとそれは自己退職であり、解雇ではないので雇用保険が3カ月しないともらえません。解雇されたと本人が思っていても、話を聞くと自己退職か、もしくは退職を促せて応じた形になっています。
会社の幹部に面と向かって言われると位負けして何も言えない人も多いのです。会社が「辞めてくれ」と言うのは解雇ではありません。法律的には雇用契約の合意解約の申し入れ、もしくは退職勧奨に過ぎないのです。したがって「辞めてくれ」と言われたら「それは解雇ですか?それとも退職勧奨ですか?」とはっきりと聞くことが重要なのです。
脅されたり、「今すぐ答えろ」と言われたら時間を稼ぐことが重要です。「家族と相談して決めるので明日回答します。」と答え、翌日はICレコダーを用意して、「辞めるつもりはありません」とはっきり答え、会社側の対応を録音することが重要です。
一旦退職届にサインし印鑑を押すと、内容証明で取り消しても、会社側がそれを認めることはまずありません。「退職届を出さないと懲戒解雇する、そうなると退職金もない」といわれて退職届を書く人も多いのです。しかし自己退職はほとんど闘えませんが、懲戒解雇なら勝利しやすいので大歓迎です。
労働者が社長や上司に「辞めてくれ」と言われて唯々諾々と従うのは、社長や上司に位負けしてまともに交渉できない事、さらには法律を知らないことがあります。社長や上司と交渉する時は「かぼちゃが並んでいる」ぐらいに思えばよいのです。この人も自分と同じ人間で「くそをたれ、屁をこく」のだと思うことです。
労働者と社長は職場では支配従属の関係ですが、こと雇用契約のことや、法律上では対等の関係だと考えることが重要です。「対等の交渉をおこないそれを録音する」ということが労働者はなかなかできないのです。
労働者はリストラ時代には最低限の交渉術が発揮できないと生きていけない時代なのです。せめて「辞めてくれ」と言われた時の対応の仕方ぐらいは暗記しておいた方がいいでしょう。社長や上司と話すことは、最初は足が震えるほど緊張するものですが、慣れてくれば何でもないのです。
労働者はユニオンに加入して日ごろからリストラに対応する仕方を学んでおくことが必要な時代なのです。備えが万全なら面談や交渉で言いたいことが言えない、ということはないのです。
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